2025 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
■レース概要
開催場所:岡山国際サーキット
開催日:2025年4月12日(土)~13日(日)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
| #17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 予選11位 決勝8位 |
・GT300
| #96 K-tunes RC F GT3 予選19位 決勝6位 |
| #60 Syntium LMcorsa LC500 GT 予選17位 決勝14位 |
| #30 apr GR86 GT 予選28位 決勝20位 |
ついに開幕したSUPER GT、2025は結構変化のあるシーズンとなります。
まず2019まで開催されていた海外イベントが復活します。第3戦にセパン(マレーシア)がスケジュールに組み込まれました。全日本GT選手権の頃から実績があり、プレシーズンテストも行われるなじみの深いサーキットです。また、今シーズンは300kmと3時間の全体的に短めのレースとなり昨年とは戦略の組み方が変わってくるかも知れません。さらに新しい取り組みとして8月の第4戦の富士では土曜・日曜と1レースずつスプリントが行われます。詳しくはまだ発表されていませんが純粋にスピードを競うのは新鮮です。
レギュレーションについては、予選がタイム合算方式から2023までのノックアウト制にもどります。Q1Q2のタイムがダイレクトに順位に結びつくため解りやすくなります。それに伴いQ1Q2それぞれにニュータイヤが使えるようになりタイヤの戦略・開発に幅がでそうです。
台数の多いGT300の入賞が15位までと増やされました。GT500の倍近くの数が参戦していることを鑑み、チームの実績や評価をより反映させるためにもポイントのプラスαを取り入れたとのこと。またGT300は7戦の有効ポイント制になりますが、これはセパンに参加台数の制限があるための措置です。
さらにGT300はサクセスウエイト制度に変更があります。ウエイトの上限は100kg、50kgを超えると重りではなく給油リストリクターが使用されます。つまり50kgを超えると給油時間が長くなると言うことです。
GT300は多くの変更がありましたがGT500は基本的に変わりありませんが、共通モノコックが全車新品に置き換わりました。仕様に変更はありませんがクラッシュなどで交換した車以外は5シーズン使ったモノコックを定期更新です。土台となる部品の交換ですから不安を感じる向きもあったようですが特に不具合もなく、逆にフィーリングの良くなったクルマはあったそうです。
開幕戦の周回数は82周、ドライバーの周回数制限によるピットストップのタイミングは28周から54周(GT500)の間です。
<4/19予選>
3月に岡山で行われた公式テストは最低気温5℃、冷たい雨の中行われ赤旗中断もありましたが、土曜の予選日は4月のこの時期にしては異例の暖かさ。午前の走行は一度も中断もなく実にスムーズに行われたのは良いですが、あまりにもコンディションが違うためテストからのフィードバックは限定的だったかもしれません。
走り出しは調子の良かった#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTでは、温度が上がってくると前後のグリップ不足が報じられるようになりました。ハイレベルで拮抗している予選に向け死角を無くすべくセッティングを重ね少しずつ改善していきますが、全体をバランスさせるまで時間が足りませんでした。結果約0.05秒差でQ1敗退、予選は11位となりました。Q1の全15台のタイム差はわずか0.739秒、シビアな闘いです。
昨シーズンまでのGR SUPRA GTに変わりGT300規定のニューマシンLC500を投入した#60 Syntium LMcorsa LC500 GT、ライバルチームのLC500と異なりNAエンジンを搭載するこの車はSUPRAよりホイールベースが長いこともあって理想的な前後の重量配分を狙えるマシンに仕立てられています。とはいえニューマシンは実戦で如何に素早くを鍛え上げていくかがポイントです。2回の公式テストでは十分にポテンシャルを感じ取れ開幕から期待が高まりましたが、実際公式練習がはじまるとコンディションと持ち込みのセットが合わず頭を抱えることに。懸命な調整を繰り返し、予選前には大胆なセットアップ変更で臨んだQ1はようやくスピードを取り戻しB組6番手で突破しますが、Q2では変化するコンディションの影響でオーバーステアが強く予選は17位止まり。パフォーマンスを引き出したとまでは言えませんでした。
ここがホームコースとなる#96 K-tunes RC F GT3は今シーズンからデータ活用の拡充を図り、新たにスーパーフォーミュラで活躍するエンジニア2名を招聘し最新のデータ分析手法を導入しました。テストではドライバーから乗りやすさの好評価も上がり期待の高まる予選でしたが、やはり36℃に届いた想定以上の路面温度のためかドライでのパフォーマンスが物足りずQ1敗退、予選は19位となりました。
#30 apr GR86 GTは今シーズンから変更したミシュランと車体とのマッチングを探りながらの走り出しとなりました。事前テストの天候ではドライをテストする時間が圧倒的に足りず公式練習でも精力的にセットアップと走り込みを重ねますがオーバーステアが収まらず24番手、予選ではさらにタイムアップしますがライバルに比べ伸び幅がたりずQ1敗退、予選28位となりました。
<4/20 決勝>
昨日から一転し朝から雨風の強いコンディション。ただ予報より遅れているとはいえ天候は回復傾向の模様。こうなるとウエットタイヤでスタートし、どの時点でドライタイヤへチェンジできるのかがポイントです。他車に先駆けてベストなタイミングを掴めれば少ないロスタイムで大きなアドバンテージを得られます。その時点までウエットタイヤを持たせられるのか。交換出来たとしてまだ水の残る路面で(完全に乾いてからの交換では遅い)ドライタイヤが温まるまでのリスクとロスをどう計算するか。もしかすると気温の低い今回のコンディションでドライタイヤを使えるほど回復しないかも知れません。コンディションやライバルの動向を睨みながらどのように攻めるのでしょうか。
決勝は雨の弱まってきた13時SC(セーフティーカー)先導でスタートしました。もちろん全車ウエットタイヤ。5周目にSCが解除されますがその直後に#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTの目の前でGT500車両3台が絡む多重クラッシュが発生し赤旗中断。間一髪でスピンするライバルをかわして8番手に浮上、レース再開した周にも前を走るライバルがコースアウトして7番手、数周後にもう一台コースアウトする間に6番手と序盤から波乱のレースが展開されました。しかし決勝前のウォームアップで感じられたウエットでのフィーリングの良さは本物のようで、時折雨の強まる難しいコンディションですがスタート直後からペースよく、タイヤをマネジメントしながらも19周目には1台パスして5番手、24周目のFCY明けのリスタートを決めて4番手までポジションを上げました。周回数が1/3を過ぎてもまだ路面の水量は多くドライタイヤの使えるタイミングを待つ状況です、#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはウエットタイヤの消耗に苦しむライバル車両がピットへ向かうのを横目に粘りの走り。折り返しを過ぎた46周目にピットイン。
ドライにはまだ早くウエットタイヤに交換、ハンドルを握るのは今期唯一人のGT500ニューフェイスです。GT500全車がウエットタイヤでコースに戻った52周時点で4番手、急激に路面が乾きだしてきたのはこのあたりからでした。61周目に再びピットインしてドライタイヤに交換、コンディションが変化していくなかベテランを相手の混戦でも光る走りを見せポジションをキープ。3番手を走るライバルにタイム加算のペナルティが決まっており#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは表彰台に手がかかっていたのですが、ラストラップにコースからはじき出されてしまいグラベルでレースを終えました。表彰台は逃しましたが8位でポイント獲得、ベストなセットアップとは行かなかったマシンでも結果入賞を決めたのはチームが一丸となった成果だと思います。次戦富士での活躍に期待が高まります。
#60 Syntium LMcorsa LC500 GT決勝前のウォームアップでは5番手と水の多いコンディションとのマッチングが良さそうで、実際スタート直後からペースが良くライバルをオーバーテイクしながらポジションを上げ13周には11番手にまで進出し好調な滑り出し。更に上位を狙っていた14周目からSCが入り快進撃に水を差されてしましました。このころからコンディションとのマッチングがずれはじめペースが伸び悩むようになりだします。レースの1/3を過ぎた所で早めのタイミングですがピットに入りドライバー交代とウエットタイヤからウエットタイヤへの交換。大部分のチームはコースに残っていたため27番手に後退しますが空いているコースでペースアップする作戦です。ところがこのスティントに選択したウエットタイヤとコンディションに合わずペースが伸びません。レースを折り返した時点で21番手。徐々に路面が乾きだしたのが45周頃から、終盤を考えるとロスタイムが加算されてしまいますがドライタイヤへ交換を決断、17番手までもどしていた50周目に2度目のピットイン。19番手から追い上げ7周後には15番手までポジションをあげましたがここでSCが入りラップダウンが確定してしまい万事休す。そのままの順位でチェッカーを受けましたが上位に失格があり14位2ポイントを手にしました。課題の残るレースでしたがまだデビューレースを終えたばかり、今後の活躍に期待が高まります。
19番手スタートの#96 K-tunes RC F GT3は、当初のレース1/3を経過した時点で直ぐにピットにもどりフレッシュなタイヤで繋いでいく作戦を変更し、ワンストップでドライタイヤに交換するタイミングを探る作戦へ舵をきりました。これを受けベテランドライバーは難しいコンディションの中ハイスピードで走り続けるドライビングを模索しながらチャレンジングなミッションを完遂、ライバル達が次々ピットに戻る中49周目には4番手まで浮上、翌周に相棒のベテランドライバーがバトンを受けドライタイヤでコース復帰、13番手から毎周ポジションを上げ55周目には再び4番手、71周目には3番手にまで上がりましたが今回持ちこんだドライタイヤがコンディションとのマッチングが取れておらず徐々にペースが苦しくなりました。75周目にひとつ、77周目に最終コーナーで接触された際に2つポジションを落としましたがダンロップ勢最上位の6位でフィニッシュ、#96 K-tunes RC F GT3も決してパーフェクトな仕上がりではなかったと思いますがベテランの力とチーム力で細い糸をたぐり寄せたリザルトではないでしょうか。
雨に自信を持つミシュランのフルウェットタイヤでスタートした#30 apr GR86 GTは序盤からハイペースでポジションをあげていきます。20周目には17番手となったところで接触されてポジションを落としますが直ぐに巻き返し42周目には9番手に進出、水の少なくなり始めた44周目にダンプタイヤ(ウエットとドライの中間的な状況用のウエットタイヤ)に交換すると19番手からわずか8周で9番手までポジションアップしました。さらに乾いて行く路面にミディアムのドライタイヤへ変更してコースに出ますがドライのセッティングが出ていない車体ではペースが鈍り最終的なリザルトは20位となりました。完走することで実戦データを得た点はポジティブで今後に繋がる一戦でした。
GT500は 前人未踏のシリーズ3連覇をめざす#36 au TOM'S GR Supra が予選2位から次元の違うスピードでまずは1勝目。速さだけでなくトラブルやペナルティがないのも強さの秘訣です。
GT300は昨年惜しくもチャンピオンを逃した#65 LEON PYRAMID AMGが今年も強さを発揮、10秒のペナルティを背負いながら速いペースで逃げ切り開幕優勝を決めました。
波乱の開幕戦となりました。春先は天候がなかなか安定しませんが今回はもろに当たってしまい、特に決勝では荒天にもかかわらず足をお運びいただき感謝です。勿論全国のモニターの向こうから応援いただいた皆様にも感謝です! オベロンは昨年から引き続き#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT、#96 K-tunes RC F GT3、#60 Syntium LMcorsa LC500 GT、#30 apr GR86 GTの4チームをサポートしますが、どのチームの更なる前進を目指し新たな一歩を踏み出しています、4チームの新たなチャレンジにご注目ください!次戦は恒例のゴールデンウイークの富士スピードウェイ。引き続き応援宜しくお願いいたします。
■公式リザルト
公式リザルト GT500
https://supergt.net/result?series=2025>_class=gt500&race_num=4&round=Round1
公式リザルト GT300
https://supergt.net/result?series=2025>_class=gt300&race_num=4&round=Round1
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=14439
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://k-tunes.com/shingle0003.html
#60 Syntium LMcorsa LC500 GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/1201290
#30 apr GR86 GT
https://supergt.net/wp-content/uploads/2025/05/30_rd1_Okayama_rep.pdf
