2024 AUTOBACS SUPER GT Round5 SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL

■レース概要
開催場所:鈴鹿サーキット
開催日:2024年12月7日(土)~8日(日)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT予選2位 決勝2位

・GT300
#96 K-tunes RC F GT3予選15位 決勝9位
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選18位 決勝14位
#30 apr GR86 GT予選14位(決勝スタートは5グリット降格) 決勝20位

2005年以来となった鈴鹿での最終戦、しかも12月の開催は夏にレースの延期が決まってからの設定なので年初にはないイレギュラーな時期。タイヤの準備も大変だったのではないでしょうか。低温対策としてタイヤウォーマーの使用も検討されましたが公平性をたもつため使用禁止は変わらず。その代わりタイヤの持ち込み本数を増やすのとレース距離を350kmから300kmへ短縮、クラスの走行順やウォームアップの周回数などで対応します。
この低温はデメリットだけでなく気温の低さにはエンジンのパワーアップに効いてきます、予定だった夏より20℃以上低く単純計算で7%程度はパワーアップ、さらに基本的にノーウェイトのため(7レース目になる車両はウエイト半減のため)5月のレースで記録されている現在のコースレコード(GT500)の更新の可能性が高く、予選決勝を含めハイスピードな争いが予想されます。
また、後半初の好天のレースウイークになりそうなので、シリーズ後半戦から改訂された予選(Q1Q2 1セットずつ使用可能。GT300のQ1は全車出走、14位以上と15位以下にグループ分ける。それぞれのグループの中でQ1Q2を合算して順位を決める。Q2後グループを超えた入れ替えはしない)が初めてフルに適用されるのでしっかり対応して予選上位を目指したいところ。鈴鹿はレコードラインが非常に限られているので性能の拮抗した車同士の追い抜きは容易ではないので予選もしっかり戦わなければなりません。冬の鈴鹿は新しい条件ばかりですがそれは全チーム同じ、すなわちチーム力も問われるレースになりそうです。レースは52周(ウォームアップが2周になったため51周になりました)、ドライバーの交代は最短で18周(GT500)(周回数が減ったため17周になりました)から、給油に義務はありません。

<12/7予選>
朝の公式練習開始時は晴れてはいるが、気温11℃路面温度12℃。冬の名物の北よりの山風「鈴鹿おろし」がピューピュー吹いて非常に寒いコンディション。温まるまではプラスチックのタイヤで走っているようだとも言いますが、そんな中でも好調なのがトップタイムを記録した#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT、持ち込みのセットが良くストレス無くチェックメニューをこなすと10分の専有走行でコースレコードを更新(予選・決勝ではないので非公式)する好調ぶり。GT300の6番手となった#96 K-tunes RC F GT3は過去2勝している鈴鹿と相性がよくこちらも好調な滑り出しです。
気温14℃路面温度24℃とやっと路面が20℃を越えた午後の予選、GT500から始まったQ1は午前の好調のままに#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはラストラップでコースレコードを更新しますがライバルも頑張りQ1は4番手、40分後に行われたQ2でも会心のアタック、残り10分を切ったところでコースイン、じっくり温めたラストラップにこちらも従来レコードを更新するQ2 2番手タイム、合算でも順位を上げ予選は2位、決勝はフロントローからのスタートです。
#30 apr GR86 GTは持ち込みのセットを前戦からの新しい方向性でまとめ、走り出しからドライバーから好感触の声もあり大きな変更無く走り込み、臨んだQ1でも車のバランス良く、ソフト寄りのタイヤもウォームアップに多少時間はかかりますが温まればグリップ感も良く今シーズン一番のフィーリング。アタックラップで引っかかってしまいロスがありましたが14番手。Q2でもフィーリングは良いままでしたがタイミングを上手く計れず14番手のまま、逆にウォームアップ中に他車のアタックに不利を働いたとの判断でペナルティ、決勝は19番手からのスタートとなりました。
一方公式練習から好調だった#96 K-tunes RC F GT3は25分間のQ1のこり15分でコースイン、3周目に13番手タイムを出しますがどうもタイムが伸びません、どうやらエンジン不調でパワーダウンしてしまっているようで、午前のタイムにも届かず22番手。Q2は30分後の15位以下のグループに出走、トラブルの手当はしましたが果たして、計測3周目にワンラップアタックを決めGT300の従来レコードを上回るタイムを出し15位以下グループのトップとなり、予選は15位。#30 apr GR86 GTのグリットダウンもあり決勝は14番手からスタート。
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは今回のイレギュラー日程にスケジュールが合わず予選を走れないレギュラードライバーの吉本選手に代わり、F4や昨年はGT300のライバルチームで活躍した伊東選手が急遽予選を戦う事になりました。持ち込みのセットの方向性は良かったのですがタイヤとマッチしきれていない様子、Q1は残り10分でコースに出ると計測2周じっくりウォームアップしアタックに入りましたがデグナーでイエローが出ていて水を差され、連続アタックに入りましたがタイヤのピークは超えてしまったためタイムは伸びず21番手、Q2は15位以下グループに回りましたが、ここまでユーズドタイヤで慣熟走行を続けてきた伊東選手が初のニュータイヤで予選に出走、1回目のアタックでQ2のグループ3番手タイムを叩き出し合算でも予選18位にポジションを引きあげました。限られた時間のなかでナイスランでした。決勝は#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTも一つ前の17番手からスタートします。

<12/8 決勝>
長かった今シーズンもいよいよ最終レース、土日両日ドライでレースができるのは久しぶり、とはいえ昨日よりは雲が多く気温が15℃路面温度は22℃。スタートは13時前ですがゴールに向けて温度は下がって行くはずです。タイヤ交換後のウォームアップ通常より時間が必用そうでGT300の場合だとアウトラップ+アルファのロス(+交換時間)と、無交換作戦のレースペースを天秤にかけタイヤ戦略に悩むチームもあるはずです。
そのウォームアップを考慮して2周となったフォーメーションラップのから集中していた#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは序盤こそトップと同等のペースを刻んでいましたが、徐々にそのギャップは広がりだしました。路面温度が14℃まで下がってきた10周目デグナーでGT300車両をオーバーテイク中に接触があり5番手にポジションダウン、車体に大きな影響は無かったため再びムチを入れペースアップ。4番手に浮上した18周目にピットインしてフルサービスを実施しました。全車ピットを済ませた段階で3番手。トップとの差は6秒以上でしたが、車のフィーリングは良くトップ争いをする前二台を少しずつ追い詰めます。途中レース二度目のFCY(フルコースイエロー)では80km制限中であっても僅かでもギャップを詰めるためにラインの最短距離をイメージして走り、FCY開けに2番手が後退するとトップとの一騎打ちに。40周目にはその差は1秒を切るところまで接近、その後は一進一退が続きましたが諦めない#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは残り4周となった日立Astemoシケインで、第3戦のファイナルラップでのレイトブレーキングを思わせる突っ込みで前に出ますが抜ききれず、結局そのままの順位でフィニッシュ、優勝には届きませんでしたが2位表彰台は今シーズンのベストリザルトです。

#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは午前のウォームアップでGT500車両と接触してしまいましたが幸い大きなダメージはなく無事決勝をむかえましたが、スタート後は想定したよりタイムが伸びず二つポジションを落としますが上位のアクシデントで再び17番手に、その後薄かったグリップ感が戻り順調に周回、ピットタイミングを延ばす作戦で2番手まで浮上した23周目にピットインしてフルサービスを実施。全車がピットを終えた25周目に16番手、グリップ感が薄なかでもペース良く3台をパスして13番手、ポイント圏が見えてきましたがペースが保てなくなり14番手、しかし終盤12番手に手が届くところまでギャップを詰めましたが時間切れ、14位でチェッカーを受けました。入賞3回でパーフェクトとはいかないシーズンでしたが、それでもタイヤにも車にも確かな進化が見られたシーズンでした、来季の躍進が感じられます。

14番手スタートの#96 K-tunes RC F GT3はウォームアップの良いダンロップを活かし、スタート直後やFCY解除後などは確実にポジションを上げ13周目には7番手争いの2台に追いつき、8番手となった16周目にピットイン。素早くフルサービスを実施しピットレーン出口では4輪を滑らせながらコース復帰、全車がピットを終えた25周目には11番手、ポイント圏まで約10秒ありましたが2度目のFCYを挟んだ32周目にはテールトゥノーズまで急接近。翌周にはオーバーテイクを決め10番手まで戻しました。ここから9番手までは約11秒大きなギャップです。しかし残り8周を過ぎた頃からタイヤ無交換作戦をとっている9番手との差をぐいぐい詰めてオーバーテイク、残りは4周ありましたが8番手までは届かず9位でチェッカーを受けました。想定していたペースでは無かったと言いますが大きなミス・トラブルも無く入賞で締めくくれた良いレースだったのではないでしょうか。

車とタイヤのバランスは予選から変わらず今季一番の出来で、タイヤ無交換も視野に入れていた#30 apr GR86 GTは、まだタイヤの冷えている2周目に一つポジションを落とすも翌周には取り返すフィーリングの良さを発揮。9周目に出た1回目のFCYの時点で14番手、15周をすぎる頃から出だしたピットに戻るライバル達を横目に快調に周回し20周目には2番手まで浮上、ペースも十分入賞圏内を争えるペースでこのスティントを延ばしていこうと考えていた矢先の21周目にタイヤトラブルが発生し急遽ピットにもどり車両チェックをしましたが時間がかかり最後尾付近まで後退。ブローしたタイヤの破片でサスペンションに損傷が残りましたがドライバーを交代してなんとかコース復帰、とても本来の性能を発揮どころではなくなってしまいましたが、無事に走り切り20位完走。翌年のマレーシアラウンドへの参戦権を獲得というミッションを達成しました。今シーズンは不安定な天候の中新しく小径タイヤの開発をしながら車のセッティングを模索するという困難な目標に目処を立てられ来季へ繋がるシーズンになりました。


GT500は ポールを獲りポイントを積んでシリーズチャンピオンを決めた#36 au TOM'S GR Supra がライバル達からの猛攻を退けトップチェッカー、今シーズン3勝目となりました。
GT300は#88 VENTENY Lamborghini GT3が今シーズン4勝目となるポールトゥウイン。終盤3連勝と流れを手放さず逆転でシリーズチャンピオンを獲得、前進の全日本GT選手権の第1回から参戦を続ける古参のチームが初の戴冠です。

初となった冬のレースの応援ありがとうございました。冷たい風の吹く鈴鹿で両クラスとも熱い内容でしたが赤旗が出るような大きなトラブルもなく、あらためてプロフェッショナルの凄さを感じるレースでした。
今シーズンはオベロンがサポートするチームの優勝はありませんでしたが、それぞれの条件のもと最後まで目標に向かって全力を尽くす姿は胸アツでした。来シーズンは海外戦が復活することもありさらなる盛り上がりが期待されます。シーズンは4/12~13の岡山で開幕し、全8戦を予定しています。今後ともご注目いただくと共に引き続きの熱い応援をよろしくお願いいたします!
ありがとうございました!

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2024/Round5
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=14329
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/SGT2024_Rd5_%E6%B1%BA%E5%8B%9D%2020241208.pdf
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2024_sgt_lmcorsa_report_05_SUZUKA_FINAL.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
http://supergt.net/upload/30_rd5_Suzuka_rep.pdf