2025 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL 2025
■レース概要
開催場所:セパン・インターナショナル・サーキット
開催日:2025年6月27日(金)~28日(土)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
| #17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 予選7位 決勝4位 |
・GT300
| #60 Syntium LMcorsa LC500 GT 予選16位 決勝15位 |
| #96 K-tunes RC F GT3 予選15位 決勝16位 |
クアラルンプール国際空港の隣に位置するセパン・インターナショナル・サーキットは赤道にほど近いマレーシアのサーキット。SUPER GT(JGTC)は2013年まで11年間シリーズの一戦として開催、今回12年ぶりとなりますがシーズンオフのテストで使用しているため走行経験のあるドライバーも多くGT300のコースレコードホルダーは#96 K-tunes RC F GT3で走っている高木選手でした。ちなみに#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTの若手小出選手はセパン初レースにそなえて事前に自腹でセパンを走行したそうで、それがシミュレーターでのテストに生きたとのことです。#60 Syntium LMcorsa LC500 GTの河野選手はセパンでGT300のレースは初となります。
コーナーはバラエティに富んでいますが比較的高速寄りのサーキット。特徴はやはり地理的要因による高温と多湿。今回は夕方からのレースですが通常、日中の路面温度は50℃をこえ、クールスーツなど無しに走れません。レースウイークに入るとまっさらでスリッピーな路面にゴムが刷り込まれていき走行時間に比例して路面のグリップが良くなっていきますが、路面に刷り込まれず削れ落ちたタイヤカスが非常に多く発生するのも特徴で、これをタイヤが拾うと走行に悪影響が出ることが多いです。また路面に刷り込まれたゴムがスコールで流され、スリッピーなコンディションにもどってしまうこともあります。
<7/26予選>
今回は金曜予選、土曜決勝といつもと違うスケジュール。オベロンのサポートチームからは#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT、#60 Syntium LMcorsa LC500 GT、#96 K-tunes RC F GT3が参戦。GT300は参戦しないチームも出るため(参加台数の制約)今シーズンのGT300は上位7戦の有効ポイント制になっています。木曜に行われた公式練習ではCIVIC勢が上位に顔を並べる中#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTだけが下位に沈みやや心配な走り出しとなりましたが、新しいセッティングを探りながらのトライアルでもあったようで予選に向けて組み立てなおされたセットが功を奏し、予選Q1をレコードタイムの2番手で通過すると、セパン初の小出選手がしっかりまとめ予選は7位となりました。
高速コースが得意なGT300の#60 Syntium LMcorsa LC500 GTと#96 K-tunes RC F GT3はセパンでの活躍が期待されました。事前の富士でのテストで好感触の#60 Syntium LMcorsa LC500 GTでしたが、曇り空の影響で路面温度が40℃あたりで落ち着いてしまっているためかコンディションにタイヤが合いません。公式練習ではタイムが伸びませんでしたが予選が近づくにつれようやく光が見え出しました。路面が良くなってきたためQ1はソフト寄りのコンパウンドに変更。アタック開始早々にQ1突破タイム付近を記録し、翌周はセクター1,2とベストを更新しましたがタイヤのピークが過ぎてしまったのかタイム更新できずQ1敗退、予選は16位となりました。
セパンでのGT全レースに出場経験を持つ高木選手と新田選手を擁する#96 K-tunes RC F GT3ですがセパン初走行のRC Fのペースが上がりません。前戦の富士からのストレートスピードと低速トルクの不安にくわえタイヤがパフォーマンスを発揮しきれず公式練習2回とも最下位、それでもQ1が始まると向上していく路面を、ベテランらしい走りでとらえてベストを更新、残り30秒までQ1突破ライン上に残りましたが最期にポジションを落としてQ1敗退、予選は15位となりました。
<6/28 決勝>
第3戦は300kmレース(5.542km/周 55周)ドライバーの最大周回数は36周(GT500)、暑さ対策で現地時間16時30分と遅めのスタートです。早朝のスコールでコースが洗われグリップ感の薄い路面にもどり、曇りということもあり路面温度も42℃とこのコースでは低めの想定に入るコンディションでレース開始です。
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは1周目の混乱を横目に6番手で戻ってくるとライバルとの間合いを計りながらチャンスを狙いました。本格的にGT300に追いついてきた10周目、集団の中で一瞬の隙を逃さず一台抜いて5番手、後続を引き離しますが前とのギャップが縮まらなくなって来た20周目にドライバーをバトンタッチしフルサービスでコース復帰、11番手ですが全車がドライバー交代を終えた32周目には5番手まで戻していました。ここからじわじわと4番手を追い上げますが追いついては離されを繰り返し抜ききる所まで行きません。そうこうしているうちに40周を過ぎた当たりから追い上げてきた#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTに47周目にはポジションを明け渡し6番手に下がるも食い下がりました、その後5番手となった#19 WedsSport ADVAN GR Supraを51周目にかわして再び5番手をとりもどしたところでチェッカー。#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTに10秒加算のペナルティがあったため#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTのリザルトは4位となりました。走りはじめから目ぐるましく変わっていくコンディションの中で車をまとめ上げたこの結果は今後のシリーズでの活躍に期待がかかります。
軽量で独自開発のエアロボディで高速コーナーに強い#60 Syntium LMcorsa LC500 GTと、パワーと空力特性で高速時の伸びが一味違う#96 K-tunes RC F GT3。キャラクターは違えどともにダンロップで戦う2台ですが予選に続き決勝でも苦戦が続きました。#60 Syntium LMcorsa LC500 GTはタイヤとコンディションのマッチングがとれず十分にグリップを引きだせません。前日までは悪いなりにも路面コンディションが出来上がってくるにつれペースアップの兆しが見えましたが、コンディションが後退した決勝ではフィーリングが振り出しに戻ってしまいました。レース開始からピタリと#96 K-tunes RC F GT3を追走しますが互いに速いところが違うため中々前に出ることができません。セパンはブレーキング勝負のポイントが少なく、団子状態では高速コーナーのダウンフォースが不安定になりやすいうえラインをはずすとピックアップ(タイヤカスがトレッド面にくっつくこと)が待ち構えており意外と自由度が少なく、性能が拮抗していると抜きにくいのです。12周目にようやく前に出ますがソフト寄りのタイヤのピークが過ぎてしまっているからか思ったよりペースが伸びません。20周目にタイヤをハード寄りに変更するとともにドライバーも交代、3番手となる短時間でコースへ送り出し、全車がピットを終えた26周目時点で14番手に。しかしコースコンディションが良くなっていく中ベストを更新しながらの周回ですが満足いくラップタイムではありません。37周目にはGT500にラインを譲る際にひどいピックアップが発生しタイムが落ちたところで15番手にポジションダウンしてしまいました。
一方今回のタイヤのマッチングに加え、前戦からのパワー問題もありパフォーマンスを発揮しきれていない#96 K-tunes RC F GT3は21周目にピット作業を終え26周目に16番手、その後は良くなっていく路面をとらえ自己ベストも刻みながら前とのギャップを詰めていきました。36周目には約9秒前方で14番手を争っていた#60 Syntium LMcorsa LC500 GTが、ピックアップの影響でコースオフしたのを機にギャップが急速に縮まり、46周目にその差は1秒を切るところまできました。しかし手に汗握る追撃もここまで、順位を入れ替える決定力がなく15位#60 Syntium LMcorsa LC500 GT、16位#96 K-tunes RC F GT3の順でチェッカーを受けました。今回のレースは残念な結果でしたが、このあと控える真夏の富士・鈴鹿の2戦へフィードバックさせていきたいところです。
GT500は 予選4番手の #37 Deloitte TOM’S GR Supraが鮮やかなオーバーカット(ライバルより遅いタイミングでピットに入り先にコースに戻っているライバルよりさらに前でコースに戻る作戦)で今季初優勝、トヨタとしては21年ぶりのセパン優勝となりました。
GT300はポールからスタートした#18 UPGARAGE AMG GT3が1stスティントで2番手に下がるもピット時間をライバルより短くまとめトップに返り咲き優勝。NSXから今季メルセデスに切り替えわずか3戦目で掴んだ勝利でした。
第3戦の応援ありがとうございました!国内戦とは雰囲気の違うレースは新鮮な面白さがありました。予選決勝の両日で7万人を超えるお客様の前で日本のモータースポーツを強くアピールできたのではないかと思います。海外に飛び出し新しい芽を育てるのは色々な分野で花を咲かせる可能性があるのでこれからも応援していきたいところです。さてSUPERGTは暑い8月に富士・鈴鹿と2レース行われます、特に8/2~3の富士は2日連続のワンデイレースのスプリントと新しいフォーマットです。走る方も見る方も新しい体験となります、是非オベロンがサポートする#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT、#96 K-tunes RC F GT3、#60 Syntium LMcorsa LC500 GT、#30 apr GR86 GTの4チームへの応援お願いいたします。
楽しい1戦になると思います。
■公式リザルト
公式リザルト GT500
https://supergt.net/result?series=2025>_class=gt500&race_num=&round=Round3
公式リザルト GT300
https://supergt.net/driver_ranking?series=2025>_class=gt300&round=Round3
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=14587
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://k-tunes.com/sokuho/shingle0005/
#60 Syntium LMcorsa LC500 GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/1227066
