2023 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT 450km RACE
(2023 SUPER GT 第7戦 AUTOPOLIS)
■レース概要
開催場所:オートポリス
開催日:2023年10月14日(土)~15日(日)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
#17 Astemo NSX-GT | 予選6位 決勝6位 |
・GT300
#30 apr GR86 GT | 予選18位 決勝16位 |
#60 SYNTIUM Mcorsa GR Supra GT | 予選20位 決勝20位 |
#96 K-tunes RC F GT3 | 予選12位 決勝リタイア |
7レース目はポイントに対するサクセスウエイトの負担が半減し車も速さを取り戻しますが、今回はオートポリス初の450km(97周GT500)今までの1.5倍のレース距離で争われます。ドライバー周回数のミニマムは33周(GT500)。2度の給油義務が課せられていますがタイヤへの攻撃性の高いコースなので3度目のピットインもあるかも知れません。またタイヤといえばピックアップ(タイヤに発生したカスが離れなかったり路面から拾ったタイヤカスがトレッドに溜まってしまうこと、グリップが低下したり振動が発生しラップタイムに大きく影響します)の発生が非常に多くなっており低温時は要注意です。
ちなみにピットがSUPER GTシリーズの中で唯一進行方向に対して左にあるので、このレースの給油は左側から行われます。
昨年からGT500車両の大きなクラッシュが3回あり、ドライバーは負傷しましたが幸い生命に別状はありませんでした。これはコースの安全対策や比較的ぶつかり方が良かった点、HANS(頭部及び頸部保護システム)の義務化などいろいろな要因が考えられますが、一見すると原型をとどめていない状態の中でモノコックがしっかり形を保っていた事は大きかったのではないでしょうか。GT500は2014年より全車共通カーボンモノコックを採用しています。オートクレーブ成型のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)で、インナーにアルミハニカムやUDプリプレグ(炭素繊維を1方向に引き揃えたシート)などを使って強化しています。ロールケージ込みで約150kgとやや重いと感じるかもしれませんがドライバーを守るための要求レベルの高さのためであり、今回の結果に繋がったのかもしれません。
<10/14予選>
好天が予報されていた今大会、金曜こそ日中は暖かかったのですが、土曜は明け方に降雨もあり午前の気温は20℃にとどかず予想外に肌寒いコンディションでのスタートとなりました。オートポリスはテクニカルなレイアウトということもあり予選の重要度は高めで土曜も集中力を高めていきたいところです。
しかし走り始めると温度の所為なのかドライバーから中々良い反応が返ってこない様子。チャンピオンを争う為には負けられない一戦となる#17 Astemo NSX-GTはアンダーステアに悩まされている模様で、対策を重ねますが午前のセッション中には解決にいたりませんでした。それでもQ1は8位で突破し、Q2でもアンダーステアと格闘しながらもアグレッシブにアタックし6位を獲得、決勝に向けギリギリまで改善を模索します。
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの持ちこんだタイヤは今回のコンディションにフィットしていない様子で公式練習から苦戦、サーキットサファリの時間まで使って様々なトライを繰り返しましたが充分なグリップ感がでず、その後大幅にセットアップを変更して予選に臨みましたが満足なタイムアタックにならずQ1敗退。決勝は20番手からですが長距離レースゆえ何が起こるか分かりません、最後まで諦めずチャレンジを続けます。
#30 apr GR86 GTも走りはじめから想定外のコンディションに頭を悩ませていました、そんな中でもなんとか持ちこんだタイヤのおいしいところ使おうと四苦八苦しピットに留まる時間が長くなり、少ない周回で予選・決勝に向けてのセットアップを進めました。予選Q1はぎりぎり通過できるかといったところまでセッティングは進みましたが走ってみると僅かに及ばずQ1敗退、決勝は18位からスタートすることになりました。全体のバランスは悪くないので明日はもう少し温度が上がると面白いレースが出来そうです。今回のレースは3人のドライバーでバトンを繋ぎます。
どちらかというとGTA-GT300が得意とするオートポリスで連続入賞を続けているという意味でも#96 K-tunes RC F GTはこのコースと相性の良いFIA-GT3車両と言えるかもしれません。公式練習では12番手ですがトップ3のGTA-GT300とのタイム差が気になります、4位のFIA-GT3車両とはそれほどではないのですが。Q1ではじっくり3周かけてタイヤを温めるとアタック1周目7番手タイムを記録しQ2進出、そのQ2ではQ1よりタイムアップしますがライバルの方が伸びしろが大きく予選12位、とはいえFIA-GT3勢トップとは0.5秒ほどの差、決勝はまだわかりません。
<10/15 決勝>
当日券も完売し昨年よりもさらに多くの観客が詰めかけた決勝日、降雨はありませんでしたが昨日より風が冷たく、日が陰ると路面温度が心配になってくるコンディション。そんな中定刻にレースがスタートすると#17 Astemo NSX-GTは鋭い走りでオープニングラップに4位へジャンプアップ。6周目には前をパスして3位になり前の2台との差を少しずつ詰めていきました。20周目早めのピットインでタイヤをソフトからハードに変更します。コース復帰後は9位まで下げますがタイヤが温まってくるとペースアップ、3周で2台抜き40周目には2位までポジションアップ。トップとの差を5秒までつめた57周目2度目のピットイン、ドライバー交代を含めたフルサービスでこの後はチェッカーまで一気に駆け抜けます。8位まで落ちますが60周目2度の義務ピットを終えた車両の中では3位、このまま粘って終盤に勝負と行きたいところでしたが前日までの様にアンダーステアが強くなってきてペースダウン。最終的には6位までポジションを落としてフィニッシュとなりました。この結果今シーズンのチャンピオンは無くなってしまいましたが最終戦では優勝だけを狙って走ります。
決勝に向けさらにセットアップを変更した#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのウォームアップ走行は8位のタイムを記録、20位からいかにしてポイント圏内に食い込むかミーティングを繰り返し決勝に臨みました。オープニングラップに1台抜いて19位に上がりましたがチームは早速動きました、5周目に1回目のピットストップを実施、給油とタイヤ交換をして25位でコース復帰。前後の空いているコースをフレッシュなタイヤでペースアップ、自己ベストを更新しながら21周目には19位まで戻しますがこのあたりからピックアップの影響でペースダウン。やむをえず22周目のタイヤ交換と給油を実施、再び23位まで後退したあとはタイヤをいたわりながら周回を重ねました。それでも56周目には15位まで浮上、59周目に3度目のピットイン、ドライバー交代を含めたフルサービスをして20位でコース復帰。73周目には18位に浮上しますがこのあたりから再びピックアップが酷くなりペースダウン、コースに留まるのがやっとの状態になり2つポジションを落として20位でチェッカー。想定外のコンディションに振り回されまったく持てる力を発揮できないレースとなってしまいました。最終戦は完全燃焼できるレースをめざして事前準備から挑みたいと思います。
#30 apr GR86 GTのオープニングラップは温度が低めなこともあり慎重なスタート。20位に後退しますが序盤にピットインするクルマもあり10周もすると前後に渋滞のない走りやすい流れに。20周目に1回目のピットインでドライバー交代を伴ったフルサービスを実施し22位でコース復帰、レースは中盤に向かいますが温後は上がるどころか下がる一方、グリップ感を取り戻すことは叶わずポジションを守る走りで手一杯、それでも17位まで上げたところで2度目のピットイン。終盤を託された3人目となる若手ドライバーは難しいコンディションの中元気な走りでポジションを挽回し16位でチェッカー。コンディションとタイヤがマッチしませんでしたがクルマのバランスには手応えがありました、あとはベースの底上げをすることでさらに一段上の活躍が現実のものとなるはずです。
12位スタートの#96 K-tunes RC F GTは混雑するスタート直後はポジションをキープ、タイヤが温まると上位と遜色のないタイムで猛追、7周目には10位、10周目に9位へと良いペースで順位を上げて行きました。ところが12周目、1コーナーへのブレーキング時にバンプ(路面のうねり)にのせてしまったのか止まりきれずに前を走るライバルに衝突してしまいコースアウト。グラベルに掴まらずにコース復帰できたのは幸いでしたが、フロントカウルが大きく損傷してしまいます。14周目にドライバー交代を含めたフルサービスと応急処置でコース復帰しますが20周目にボンネットが浮いてきたため緊急ピットインしますが、結局充分な修復ができなかったためリタイアとなりました。予選から決勝に向けて大きくセッティング変更したことが良いペースにつながっていたと思われるので残念でしたが、最終戦に向けてしっかり修復して万全の体制で臨みます。
GT500は予選12位から#36 au TOM'S GR Supra が大逆転の2勝目、シリーズランキングもトップに躍り出ることになりました。
GT300は#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが2連勝、上位が2度のピットを終えた時点でトップに立つと終盤ライバルからの猛攻をしのぎきっての優勝でした。
第7戦も応援ありがとうございました。オートポリスの特性と想定外の低温のダブルパンチで思った様なレースができませんでした。ですが次に向けて見直すべきは見直してから切り替えて行きたいところです。
11/4~5は最後の走りとなるNSX-GTやFIA-GT3が得意としている最終戦のもてぎですが、チャンピオン争いだけでなく、サクセスウエイトが解除されすべてのチームが持てる力をすべて発揮しようとする姿にご注目ください。もちろんオベロンのサポートチームへの応援もよろしくお願いいたします!
■公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2023/Round7
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=13557
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://www.oktp.jp/ktunesracing/report2023/sgt23rd7.html
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/1002272
#30 apr GR86 GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/1003715