2024 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE
■レース概要
開催場所:スポーツランド菅生
開催日:2024年9月21日(土)~22日(日)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT | 公式練習10位 決勝7位 |
・GT300
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT | 公式練習6位 決勝9位 |
#30 apr GR86 GT | 公式練習10位 決勝21位 |
#96 K-tunes RC F GT3 | 公式練習11位 決勝DNF |
第5戦の鈴鹿が台風の影響で12月に延期され、5レース目後半戦のスタートとなった今回のSUGO。残暑の大会になると思っていましたが、日本海側を進む熱帯低気圧の影響で肌寒い雨の大会となりました。太平洋からほど近いマウンテンコースな為普段から天気が変わりやすく、起伏が激しいため雨量が多いとコースを川が横切り、ランオフエリアは比較的せまくコースアウトするとマシンがダメージを受けるリスクもあります。つまり雨が降るととてもスリリングなコースと言えるのですが、そんな中をプロドライバーが経験とテクニックを駆使しとんでもないスピードで攻略していく様はとても興味深い物です。
鈴鹿から新しい予選が始まるとアナウンスされていましたが大会延期のため今回から実施が予定されていました。大まかに言うとポイントは2点、一つ目はQ1Q2で1セットずつタイヤを選べる様になります。タイヤ戦略の幅が広がります。
もう一つはGT300のQ1が全車出走してのタイムアタックになります。今までのQ1後半組の有利(前半組よりラバーが乗り路面状況が良くなる)が改善されます。走行時間が伸びるとは言え29台が一斉にコースに出るとクリアラップは難しく、特に一周3.586mとSUPER GTシリーズ中最短のSUGOでは今までとは違ったタイムアタックへの取り組みが見られるかもしれません。
<9/21公式練習>
前日までの残暑から一転して予選日の土曜は肌寒く朝から雨。前日のミーティングで天候によって午後の予選が中止になる可能性も示唆されたため公式練習から積極的にタイムを残して行かなければならず、緊張感のある午前の走行となりました。9:15公式練習が始まると一斉に全車がコースに出て各々コースやマシンのチェックにかかり、雨量の変化を見ながらタイムアタックに備えます。混走で台数も多くてクリアラップもままならない中ですが、僅かでも雨量が減ってくるとネコの目のようにトップが入れ替わる激しいタイム更新合戦が展開しました。雨の多い時は高速コーナーでのフィーリングが良く#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTも一時全体トップに躍り出ますが、低速コーナーでのグリップが足らず雨の減ってきたタイミングではタイムを伸ばしきれず10番手で公式練習を終了。
7月にSUGOで行われたGT300テストで2日目トップタイムの#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT。このテストでダンロップの新しいウエットタイヤにも手応えを感じており、ポジティブな印象で公式練習をスタート。複数のコンパウンドをチェックするとすぐにタイムアタックのタイミングを見ながら周回をかさねます。2度目の赤旗後のセッションは雨量が減りコンディションが改善傾向になるとすかさずアタック、クリアラップこそ取れませんでしたが6番手タイムを記録しました。
今シーズンからウエットタイヤのパターンをスリックライクなダンプ路面(セミウエット状態)を強く意識したものに変えてきたヨコハマ。このタイヤを装着する#30 apr GR86 GTはテスト時に好感触を得ていましたが今回は路面温度20℃と低温なこともあってか苦戦。ソフトをチョイスした上慎重にウォームアップを重ねながらタイムを削りました。SUGOの雨量計が強い雨を計測したため出た2回目の赤旗直前に13番手。セッション再開するとさらに限界を探りながらの走行で10番手、ヨコハマ勢最上位となりますがアタック継続。しかし翌周セクター2/セクター3でベストを更新しながら進入した最終コーナーでコースアウト。赤旗となりセッションは中断。その後のセッションはコンディションが良くならなかったこともあり、#30 apr GR86 GTは10番手で公式練習を終えました。自走でピットに戻れましたが午後の予選開始までにガードレールにヒットした左側面の修復が必用です。
一方#96 K-tunes RC F GT3は特にタイムアタックに力を入れず、新しいダンロップのウエットタイヤのチェックを中心に走行、今年のウエットタイヤへの理解を深めました。ただ1時間45分の公式練習はGT300だと6回も赤旗が出ており、セットアップのチェックには不十分でしたがそれでも11番手を記録。昨年のSUGOではポールを獲ったことを考えるとちょっと物足りませんが、コースとの相性や、BoP(性能調整)でエアリストリクターが10%ほど拡大されたこと等ポジティブな点もあるためこの後の走行が楽しみです。
結局午後も天候は好転せず予選はキャンセル、公式練習のタイムで明日の決勝スターティンググリットが決まりました。#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは5列目から、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは今季最上位3列目からのスタートとなります。#30 apr GR86 GTは午後の予選に向けての修理を終えていましたが、このあと夜遅くまで作業を続けサーキットへ持ちこみの状態までキッチリとマシンを復元しました。
<9/22 決勝>
昨日からの雨は朝になっても止まずコース上にいくつもの川を作っていました。午前のサポートレースはSC(セーフティーカー)先導でスタートするも雨量が多くSCランのまま赤旗終了してしまうほどのコースコンディション。1時間ディレイとなったSUPER GTのウォームアップが始まる頃ようやく雨脚は弱まり、決勝にむけたチェック走行が慎重に行われました。しかしここで#30 apr GR86 GTがSPアウトの立ち上がりでコースアウト、再び左側をタイヤバリアに接触させてしまいました。ローダーで戻ってきてからフォーメーションラップ開始まで1時間を切っています、修復はグリッド上まで続きましたがなんとかスタートまでに走れる状態へ持って行きました。
スタートが近づくにつれ空は明るくなりうっすらラインが見えているようです。約50分ディレイして14:22 SC先導でスタート、GT500は全車ウエットタイヤ、GT300は2台だけドライタイヤを選択。4周目にSCランが開けると#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは直後に1台、翌周に2台をパス、コース上に雨が多く残っている序盤はフィーリングが良く6周目には6番手10周目には4番手、20周目にはついに2番手にポジションアップ。ところが水の量が減ってきたこのあたりからフロントタイヤが厳しくなってペースダウン。フロントタイヤをいたわりつつタイヤ交換のタイミングを計っていた42周目、GT300のコースアウトが発生したタイミングで一斉にGT500車両がピットに殺到。当然#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTもドライタイヤへチェンジすると9番手でコース復帰。全車がピットを終えた55周目は6番手、車のフィーリングも良く57周目には4番手にポジションをもどし3番手までは10秒差。周回数も十分あり諦めずに前を追いましたが、ピットインの際に置いてあるタイヤに当たってしまった事に対してドライブスルーペナルティの裁定が出て8番手まで後退、それでも最後に1台パスして7位でチェッカーを受けました。中々優勝までてがとどかずもどかしいレースが続きますが残り3戦での闘いに注目です。
今季最上位6番手スタートの#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはレース距離の1/3はウエットタイヤを持たせるべく最初の10周はポジションを守りながらペースを押さえた走行、そこから車にムチを入れ5番手のライバルとのギャップを詰めはじめました。上位のトラブルで5番手に浮上し4番手の背後にせまった30周目にドライタイヤに交換し16番手でコースに復帰。タイヤになかなか熱が入りませんが6周後にはウエットタイヤのベストタイムを更新、これからペースが上がっていく43周目にFCY(フルコースイエロー)が発生。この時点で9番手まで浮上していましたが80km制限で走行中だったため、ピットを終えたトップ車両が早々にコースに復帰してしまいました。結果8番手以降は周回遅れになりここで勝負権を失ってしまいました。連続して導入されたSCがあけレース再開すると自己ベストを更新しながらの8番手争い。その中で順位を入れ替えながらも最終的には9位でチェッカーを受けました。スタート時よりポジションを落としたのは悔しいですがポイント圏にとどまれたことはポジティブで次に繋がる内容でした。あとほんの少し流れを掴めれば上位を狙えたと思いますがそれは次回への課題です。
今季最上位から無事にスタートをきった#30 apr GR86 GT ですが完全な状態とはいえず難しいコースコンディションの中終始アンダーステアと格闘、フロントタイヤの摩耗が進みたまらず29周目にピットイン、ウエット→ウエットのタイヤ交換とドライバー交代をして20番手でコース復帰。しかしその後は路面の水はけが進んだためウエットタイヤではペースを上げられず48周目にドライタイヤにチェンジ、その後は危なげなく最後まで走り切ることができました。2度のピンチを乗り切ったチーム力はすばらしく、レースウィーク中に素晴らしい活躍をしたメカニックを表彰する「ZF Award」の受賞にいたりました。次はコース上でもフルにパフォーマンスを発揮して上位入賞をめざします。
スタート前のウォームアップでは3番手タイムを記録した#96 K-tunes RC F GT3はスタート直後こそペースが上がりませんでしたが、9番手争いのバトルを通じてフィーリングを取り戻しペースアップ。21周目に9番手に上がるとペースの上がらない8番手に襲いかかりました。2台の前を行く車の影からスロー走行をしていたが1台現れ、それを避けようとした8番手が#96 K-tunes RC F GT3と接触、3台が絡むアクシデントとなりました。#96 K-tunes RC F GT3は右フロントにダメージをうけ、ピットまで自走して戻りましたがリタイアとなりました。併走状態での出来事でこちらからクラッシュを避ける事は難しい状況でした。フィーリングを取り戻してからはトップ集団と変わらないペースだったため残念な結果ですが、新しいウエットタイヤでの本気のパフォーマンスを確認できた点は収穫でした。2戦連続でリタイアとなってしまいましたが思う存分パフォーマンスを発揮できれば上位フィニッシュはついてくるのではないでしょうか。
GT500は決勝の難しいダンプ路面でアグレッシブな走りを披露、14番手からトップに躍り出た#37 Deloitte TOM'S GR Supra #8が今季2勝目。シリーズランキングでも1ポイント差の2位に浮上。
GT300は15番手スタートの#65 LEON PYRAMID AMGが乾いて行く路面で着実にポジションを上げ、中盤からはトップ争いのマッチレースを展開。終盤前にでるとそのまま逃げ切りトップチェッカー。第4戦に続く連勝でシリーズランキングも1位に。
寒い中現地でお待ちいただいた皆様、モニターの前で観戦いただいた皆様、第6戦応援ありがとうございました。土曜日曜と雨の影響で変則的なレースでしたが、その内容はクルクルと順位が入れ替わるドライのレースに勝るとも劣らない興味深い物でした。残念ながらオベロンがサポートする4チームは不運が重なりスッキリとしないレースとなってしまいましたが、それぞれ収穫もありシリーズ後半に生かされるのが楽しみです。
次回は10/19~/20の九州決戦、オートポリス初の3時間レース。富士や鈴鹿とはまた違った展開が見られると思います、引き続きオベロンがサポートする4チームへの応援よろしくお願いいたします!
■公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2024/Round6
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=14110
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/SGT2024_Rd6_SUGO%20%E6%B1%BA%E5%8B%9D.pdf
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2024_sgt_lmcorsa_report_06_SUGO_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://supergt.net/upload/4859_30_rd6_SUGO_rep.pdf