2024 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE

■レース概要
開催場所:モビリティリゾートもてぎ
開催日:2024年11月2日(土)~3日(日)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT予選12位 決勝14位

・GT300
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選20位 決勝12位
#96 K-tunes RC F GT3予選19位 決勝14位
#30 apr GR86 GT予選24位 決勝19位

例年だとノーウエイトの最終戦となるもてぎ戦、今年は12月に鈴鹿が控えているためサクセスウエイトが半分残っている状態で争われます。ハードブレーキングが多くそこからのフル加速とウエイトが影響する場面も多いコース。このレイアウトのため抜きにくいと言われるコースですが、パワフルなFIA-GT3はコーナリングマシンのGTA-GT300より持っている力を発揮しやすい傾向です。このため良いポジションからスタート出来ると有利なので予選は重要です。
今回給油の義務はありませんが(もちろんフルタンクでも300kmは走りきれません)ドライバーの周回数制限があるので(一人最大42/63 GT500)最低一度はドライバー交代が必用です。距離も300kmと短いので他のレースよりはピットタイミングやタイヤ交換などの作戦の幅は狭くなるようです。

<11/2 予選>
雨続きのSUPER GT後半戦、台風から変わった低気圧の影響で土曜のもてぎは朝から冷たい雨でした。9:00からの公式練習が気温15℃・路面温度18℃で始まりましたが赤旗がでるほどの雨脚にもなりました。コースアウトも多く10時までの1時間に4回の赤旗で走れたのは約23分、10時半までに3回出て約13分、4回目の赤旗で午前のセッションは中止となりました。周回数は稼げませんでしたがそれでも#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは5番手、#96 K-tunes RC F GT3も6番手とダンロップ勢2台の雰囲気は良い感じ。
ふたたび雨粒が目立ってきましたが14:00にGT300予選/Q1(27台20分)がスタート。朝からほとんど変わらない気温17℃・路面温度19℃。いつ赤旗が出るか分からないため常にタイムを意識しながら周回しなければなりませんし、雨の弱まるタイミングを逃さない様ほぼ全車がコース上に出ているので前後の間隔の調整もタイムを出すために重要です。
計測1周目に6番手タイムを出した#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは翌周も全セクションで自己ベストを更新しながらアタックしますが最終コーナーでコースアウト。このあたりから目立って雨が強くなっていました。同じく計測1周目に9番手の#96 K-tunes RC F GT3は自己ベストで繋いできた3周目に第4セクターでペースダウン。期せずして2チームとも体勢を立て直して2度目のアタックにペースを上げていった残り時間7分頃に赤旗・予選中断、午前中の様な強い雨は時間と共に弱まり約20分後予選は再開し、残り時間は10分と設定されました。
17番手から計測再開した#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはニュータイヤでのアタックでしたが、タイヤのマッチングか内圧の設定かライバルに比べタイムの伸びに精彩を欠いています。#96 K-tunes RC F GT3は計測2周目に再び9番手、セクター4−1と自己ベストで繋いでアタックに入った4周目コースアウトが発生しここで再びの赤旗。残り2分を切っているためこのままセッション終了、結局2チームは2度もアタック中断という憂き目に遭うことになってしまいました。#96 K-tunes RC F GT3はQ1 16番手、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは23番手。#30 apr GR86 GTは持ち込みのタイヤがコンディションにマッチせず、公式練習からハイドロプレーニングの影響を強く受けアタックするところまで走りを組み立てられずQ1は27番手となりました。3チームともQ2 L15(15位〜27位を決める)に進みます。
30分後、雨は残っていますが問題無いレベルにおさまっておりQ2L15(13台10分)が始まりました。13台が計測開始、水がはけていくと共に自己ベストを更新しながらペースを上げていきます。Q1の状態を踏まえタイヤの内圧やリヤウイングを調整してきた#30 apr GR86 GT、大きく状態は改善しませんでしたが計測周ごとに9-5-9番手とタイムを上げ最終的には10番手、コンディションにまったくフィットしない中、無事に24位で決勝へコマを進めることができました。
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは開始から2-3-3番手と上位につけながらアタックを続けていましたが、最後のひと伸びが足らず6番手予選20位。午前中の方が車のバランスは良い印象で、コンディションは大きく違わない午後のタイムアタックに繋がらなかったのは残念でした。
#96 K-tunes RC F GT3は計測1周目の最終コーナーでのスピンもあり11番手からスタートでしたがその後は全セクター自己ベストで挽回し5-5-5番手でアタック終了。予選は19位、ただこちらも午前の方のフィーリングが良かったとのことで、実際この2チームは午前の方が速く、赤旗のアンラッキーもありましたが何らかの原因があっての予選結果かも知れません。3チームとも下位からのスタートとなりますが天候もガラッと変わるはずの決勝に向けて切り替えて臨みたいところです。
GT500は通常通りQ1Q2の合算タイムで争われます。短い午前の走行で十分なアジャストができなかった#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは少しグリップが足りないようでした。依然しっかりと雨が降っているGT500・Q1(15台10分)ではタイヤの温まりは良くてもコースアウトする場面もありタイムが伸びず13番手、路面の水がはけてきたQ2(15台10分)でもグリップ不足は変わりませんが、車のフィーリングは悪くなく6-10-4-7番手と上位に食い込むアタックで9番手、Q1Q2合算タイムで予選は12位となりました。

<11/3 決勝>
昨日の天気がうそのような秋晴れとなった日曜日、予選はウエットタイヤだったので決勝は全車ドライのニュータイヤでスタートします。ただこのレースウィーク、まだドライタイヤでは一度も走行していないため11:30からのウォームアップ(20分)はいつもより緊張感が高いです。#30 apr GR86 GTは新しいセットアップの方向性が今回のテーマの一つで短い時間でも精力的にチャレンジ、#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはオーバーステア傾向との報告をうけギリギリまで調整に取り組んでいました。
決勝に向け会場が熱を帯びてくると気温も上昇、気温21℃路面温度は29℃湿度45%チームにとっては想定よりも高めの温度ですが絶好の観戦日和です。
レースは定刻通り13:00にスタート、12番手からの追い上げとなる#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはライバルたちと同様のペースは作れますが抜ききるにはスピードがすこしたりない様子。GT300に追いつきだした6周目に一つポジションを落としますがライバルを逃がしません。逃がしませんが追い抜くことが難しい、そこでドライバーは燃費走行に切り替えて後半戦に望みを繋ぎました。上位のトラブルで12番手まで戻したあと24周目に#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTがピットイン、フルサービスにドライバー交代を終えコースに戻ると9番手、燃費走行のおかげで給油時間を短縮し、ピット作業で3つポジションを上げました。ここから追い上げたいところでしたがペースを上げらません。36周目に10番手に後退、それでも6番手まで3秒以内で粘り強く走りました。53周目トラフィック(ペースの違う車両)を処理する9番手の一瞬の隙をついて130Rでインに飛び込みました、しかし併走のまま迎えたS字の進入でGT300車両と接触してしまいます。その後ピットまで戻りましたが右リヤのダメージが大きく残念ながらコース復帰はなりませんでした。2戦連続でチェッカーを受けられませんでしたが最終戦の鈴鹿では切り替えてチャレンジする姿を見るのが楽しみです。

序盤はタイヤが温まるまでに一つポジションをおとした#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTですが、10周目をむかえる頃には集団もばらけ、19番手単独走行になると自己ベストを記録しながらペースアップ。19周を過ぎるとピットにもどる車が増え始め、ペースが緩まない#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは5番手まで浮上、25周目にピットに戻りドライバーを交代しフルサービスでコースに送り出すと15番手。アウトラップ(コースに戻った周のこと、タイヤが冷えていてペースを上げづらい)で一台にパスされますが26周目から連続で自己ベスト更新、上位と互角のペースを維持したまま周回を重ね、終盤にも1台ずつパスして2ポジションアップした12位でフィニッシュとなりました。ポイント(10位まで)にはあと少し届きませんでしたがレースペースが良かったこと、そのペースが終盤まで維持できたこと、その結果8ポジションアップできたことはポジティブなニュースです。やはり先行している車のいない状況でのペースはこの車の長所で、スタートポジションなど長所を活かせるレース展開が課題ではないでしょうか。

19番手からスタートした#96 K-tunes RC F GT3は毎周ポジションをあげ3周目で17番手、FCYに水をさされながらもレース再開時に落としたポジションも一つずつ取り返していきます。18周目には3台の16番手争いを制し、ピットインのピークを過ぎた23周目にようやくピットへ、フルサービスにドライバー交代をして19番手でコース復帰。いつもならここから後半の追い上げが始まるのですが中々ポジションを上げられません。ドライタイヤでの走行時間が少なかったためタイヤを守る方向寄りのセットにしていたのがちょっと過剰のようです。もてぎで重要なトラクションが削られてレースペースに精彩を欠いてしまい、いつものような追い上げができないようでした。しかし抜ききるまで行かなくても前との差をじっくり詰め、48周目には3台の13番手争いに発展。51周目に1台パスして14番手、残り7周前を追いましたが届かず14位でフィニッシュ。確かにレースペースは足りませんでしたが、ノーミス・ノートラブルが5ポジションアップにつながったのはポジティブではないでしょうか。

#30 apr GR86 GTの新しい方向のセットアップにチャレンジしている#30 apr GR86 GTは、ウォームアップでバランスが良い事は確認できており、後半のペースに問題が出るかも知れないがタイヤ無交換作戦も視野に入ってきました。実際レースが始まってみるとペース良く今年一番のフィーリングでしたが、序盤2度のFCYが開けたころにはフロントのグリップ感が薄れ強いアンダーステアで前を追い上げるのが難しくなってしまいました。21周目にドライバー交代する際給油とやはりタイヤは交換してコースに戻りました。復帰後数周はペースが良いのですがそこをピークにアンダー傾向が強まり残り30周あまりはタイヤをいたわりながら走るしかありませんでした。ミスもトラブルも無く無事に走り抜き19位でチェッカーをうけました。今季からの新サイズタイヤの進化と車の合わせ込みにトライするだけの時間が足りないのですが、そういった意味では無事完走してデータを取れたことは今後につながる一戦となったのではないでしょうか。


GT500は #36 au TOM'S GR Supra がストップアンドゴーのもてぎで燃料リストリクター制限がはいる53kgのウエイトを積みながら、11周目にトップに立つと最後までポジションを譲らない圧巻の走りで今季2勝目を飾りシリーズチャンピオンに王手です。
GT300は#88 VENTENY Lamborghini GT3が集中力の高い走りで予選17位から今季3勝目! ポイントランキングも2位に上がり最終戦にチャンピオンの可能性を繋ぎました。

後半戦雨の続くSUPER GTですが変わらずの応援ありがとうございました。今回は土日でコンディションががらっと変わって違うレースを観ているようでしたが、それぞれプロのすごさが感じられました。オベロンがサポートする4チームとも持っているパフォーマンスをすべて発揮できたとは言えませんが、それぞれ課題に向き合い、例年とは全く違うコンディションの鈴鹿の攻略につなげてくれるのではないでしょうか!12/7~8の鈴鹿でも応援よろしくお願いいたします!

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2024/Round8
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=14245
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/SGT2024_Rd8_%E6%B1%BA%E5%8B%9D%2020241103.pdf
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2024_sgt_lmcorsa_report_08_MOTEGI_FINAL.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
http://supergt.net/upload/970_30_rd8_Motegi_rep.pdf