2022 AUTOBACS SUPER GT Round5 「FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE」
(2022 SUPER GT第5戦 FUJIMAKI GROUP SUZUKA)

■レース概要
開催場所:鈴鹿サーキット/開催日:2022年8月27日(土)~8月28日(日)
(27日…曇/ドライ、28日…晴/ドライ)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo NSX-GT予選2位 決勝2位

・GT300
#30 apr GR86 GT 予選21位 決勝3位
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選13位 決勝10位
#96 K-tunes RC F GT3予選12位 決勝25位

今シーズン最後の450km(77周)レース、第4戦同様「給油をともなうピットイン義務2回」「サードドライバーの登録が可能」が特別な点です。
ライバルより前でチェッカーをうける為には最初から最後までトップを譲らないか、そうでなければオーバーテイク(追い抜き)は必須です。コース上ではラップタイムにアドバンテージがあっても車の特性や燃料の量、タイヤの状態、前後のトラフィックなどの影響で簡単には抜けない事も…。さらにコース上では接触などのリスクもあります。
ただこれがピット作業での話しとなると、速ければ速いだけ前に行くことが可能(ファストレーン【ピットロードの走行するためのレーン】を走行している車が優先ですが)です。また前後が詰まってラップタイムを落としてしまう様なときなどピットアウト先のほうが状況の良くハイペースで走れる場合もあります。(逆に混雑している所に出てしまうこともありますが)
450kmレースは積極的にピットを利用してレースを有利に進められる可能性があり、スピードだけでは勝負が決まらない面白さがあります。

<8/27 予選>
雲の多い空模様のせいもあり暑さの峠は超えた感のある土曜。前回の富士とは打って変わって午前の公式練習から好調なのはGT500の#17 Astemo NSX-GT、走り始めから良い手ごたえを掴んだようで集中して予選決勝に向けてのセットアップを進められました。Q1でこそクリアラップがとれず5番手でしたがQ2では1周のアタックラップをきっちりまとめて2番グリットをゲットしました。
一方GT300の3チームはそれぞれ予定どおりにはいかない土曜となった様子です。第4戦は今期ベストフィニッシュの4位と良い流れで地元鈴鹿に乗り込んだ#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTですが午前の走りはもう一つ物足りない様子、公式練習後のFCYテストの時間も使ってギリギリまでコースコンディションに合わせた調整を詰めた結果Q1をA組7位で通過、さらに上位を狙いQ2に向けて調性を詰めましたがコンディションからすこし外れてしまいタイムアップならず総合13位が確定しました。
第3戦の鈴鹿では予選2位を獲得した#96 K-tunes RC F GT3、午前の間はアンダーステア傾向が強くその時のタイムに全く近づけませんでした、そのためチームは思い切ったセッティングの変更を加えたところコンディションへのマッチングが高まりQ1をB組2位で突破。Q2ではアタック中に他車に引っかかってしまった事もありますが総合12位に入りました。
#30 apr GR86 GTはレギュラードライバーに体調不良がでて急遽ドライバーを一人入れ替えた3人体制で鈴鹿に挑みます。前回の鈴鹿では予選4位の実績もあり、走り始めからまずまずの調子でしたが公式練習終了間際にミッショントラブルでコース上に止まってしまいました。予選までにスペアのミッションと交換しましたが本番用のものと微妙にギア比等が違い走りのフィーリングが変わっていました。この状態ではさすがに実力を発揮しきれずQ1敗退、予選を21番手で終えました。

<8/28 決勝>
土曜より日差しは強くなりましたがこの時期にしては過ごしやすいコンディションの決勝となりました。#17 Astemo NSX-GTはクリーンにスタートを決めるとトップを追走、すると17周目にトップが早めに一回目のピットストップを実施したのをうけてトップに躍り出ます。2番手のライバルとの間隔をコントロールしながらポジションをキープ、ペースが落ちてきた29周目に一回目のピットイン。#17 Astemo NSX-GTは77周をだいたい均等に3分割する作戦、長い周回を予定すると燃料をフルに給油しなければならないのを嫌いました。フルサービスを終え7位でコース復帰するとすぐにペースを取り戻します。34周目には一台抜いて6位、全車が一回目を終えた時点で4位に浮上。36周目にも一台パスして3位に上がるとぐんぐん前の2台とのギャップを詰めてテールトゥノーズに。前の2台より明らかにペースが速いのですが抜くまでにはいけないもどかしい周回が続きます。ここでタイムを消費するより先にピットに入り流れを変えることを選択し49周目に7位でコース復帰、すると直後に130Rでクラッシュが発生しSC‘(セーフティーカー)導入となりました。この時点で2回目のピット作業を終えていないところは勝負権を失います。実質トップに躍り出た#17 Astemo NSX-GTなのですがトラブル発覚。給油装置の不具合で2回目の給油の時に予定の燃料を入れられなかったことが判明しました。このままのペースでは間違いなく走りきれないため断腸の思いでペースダウン、今シーズン2度目となる2位フィニッシュとなりました。優勝に指先がかかるところまで来ていただけに悔しい結果となりましたが、ウイークを通してスピードも勝負の内容も良かったことをポジティブにとらえ残り3戦の活躍に期待がかかります。

GT300は悲喜こもごもな450kmとなりました。オープニングラップでポジションをひとつ上げた#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは5周目に一回目のピットストップ、残りの72周を半分ずつに分割するイメージの作戦です。ライバル達とタイミングをずらすことでコース上の団子状態をさけハイペースで周回することとSCなどによる仕切り直しの影響を少なくするのが目的です。給油とタイヤ交換をして24番手でコース復帰。前後クリーンな状態でハイペースな周回をしていくと上位陣がピットインする度にポジションを挽回していきます。27周目には9位まで浮上しますがその頃にはタイヤのパフォーマンスが落ち始めペースを維持するのが難しくなってきました。35周目に2度目のピットインを実施し24番手でコースに復帰すると今度はよりタイヤを労りながらも徐々にポジションをもどしていくと44周目には17位になりますがここでSCが入ります。前とのギャップが縮まるのはチャンスですが後ろとのギャップが縮まるのはピンチです。SCが解除された時点では16位ですが、まだ上位に2回目のピットインを終えていないところもあり実質的なポジションは10位前後のポイントを争う位置でした。のこり周回は勝負所、ペースが上げられない状態で一進一退を繰り返し、全車が2回目のピットを終えた61周目に12位まで上がりポイント獲得まであと二つですがどうしてもその差が詰まりません。最終盤に上位から一台ペースダウンがあり11位でチェッカーを受けましたが、さらに前の車にペナルティがあり最終結果は10位ポイント獲得となりました。スティント後半は苦しい走りの連続でしたがチーム一丸となってもぎとった貴重なポイントだと思います。次の菅生ではさらなる強さが見られるのではないでしょうか。

決勝は予選で使ったタイヤで走りはじめなければなりませんが#96 K-tunes RC F GT3のタイヤは決勝のコンディションにはやや難しかったのかも知れません。序盤はややペースが悪くライバルのピットインによって順位は浮上しますが実質的にはポジションを落としてしまいました。当初の予定通りミニマムの23周でピットインしフルサービスでコース復帰、24位から上位を狙います。このスティントはニュータイヤということもありペースが回復、35周目に18位、40周目に11位、46周目には4位にまで浮上。しかし給油のみの二回目のピットイン予定まで結構な周回数が残っている段階でSCが入ってしまい、上位進出が難しくなりました。55周目にピットインし19位でコースに復帰しますが残念なことに58周目に駆動系のトラブルが発生し、ピットまで戻ったところでレースを終了することになりました。得意の鈴鹿でポイントが出来なかったのは残念でした。予想外のトラブルではありましたが、それまでに今後に向けた良いデータが集められたことをプラスにとらえスピードに磨きがかかるのではないでしょうか、終盤戦の活躍が楽しみです。

21番手からスタートした鈴鹿が地元の#30 apr GR86 GTは、スタート早々に一回目のピットストップに入ってくるライバル達を横目にポジションは浮上していきますが、序盤ゆえ団子状態の前を走るライバル達に詰まってしまってペースアップ出来ません。流れを変えるため予定外ですが16周目にピットイン。フルサービスで二人目のドライバーにバトンタッチ、25位でコース復帰ですがここからペース良く周回できる様になり39周目には13位まで浮上、翌周2回目のピットストップでもフルサービスで3人目のドライバーへ。22位からの追い上げですが2回目のピットを終えた中では12~3番手、さらにここでSCが導入され前とのギャップがグッと縮まり上位進出のチャンス。ここからファステストラップに迫るタイムを刻みながらスパートです、4台をコース上でパスし全車が2回目のピットストップを終えた61周目には6位、さらに2台をパスして65周目ついに3位にポジションアップ、最後はそのまま危なげなく走り切り、ホームコースで初年度のGR86が初表彰台を獲得しました。ポテンシャルの高さを証明した#30 apr GR86 GTは後半戦SW(サクセスウエイト)が増えてしまいますが再びの活躍に期待がかかります。

GT500はこのまま優勝かと思われた#17 Astemo NSX-GTがアクシデントでペースダウン、変わってトップに躍り出た#12 カルソニック IMPUL Zが最後尾スタートから逆転優勝を決めました。GT300は前戦でトップを走りながらタイヤトラブルに泣いた#4 グッドスマイル 初音ミク AMGが5年ぶりの優勝を手にしました。

真夏の戦いを締めくくる第5戦の応援ありがとうございました。いよいよ突入した後半戦の最初に#17 Astemo NSX-GTが今季2度目、#30 apr GR86 GTは初の表彰台を獲得と大活躍の一戦となりました。オベロンサポートの4チーム共に開発やテストも進みこれからはさらに内容の濃いレースが続くのではないでしょうか。次回は9/17~18 魔物が棲むというSUGOでの300km、4チームともSWの影響は無視できないとは思いますがフルで積まれるのは次回のレースまで、この難しい条件を乗り越えて上位を目指しますので応援よろしくお願いいたします。

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2022/Round5
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=12554
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/GT2022_Round5_%E6%B1%BA%E5%8B%9D.pdf
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2022_SGT%E2%99%AF60_Report_rd.5_suzuka_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://supergt.net/upload/2022%20Rd.4%20Report%2030.pdf