2024 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE
■レース概要
開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2024年5月3日(金)~4日(土)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT | 予選1位 決勝3位 |
・GT300
#96 K-tunes RC F GT3 | 予選7位 決勝17位 |
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT | 予選18位 決勝20位 |
#30 apr GR86 GT | 予選19位 決勝22位 |
第2戦は初開催となる3時間レース、周回数ではなくトップが3時間走り切ったところでフィニッシュとなります。耐久レースのような時間レースですが、チェッカーを受けないと完走扱いにならない、と言うことはなくトップの75%周回で完走扱いになります。
通常ドライバーの運転制限は距離(周回数)で決められていますが今回は時間、1人2時間以上の走行は禁止です。加えて2度の給油をともなうピットストップの義務があるため最低でも3スティントとなります。ドライバーの最短走行時間(1時間)と予選からのユーズドタイヤを使っていることを勘案すると最初のピットは1時間ころ、もう一回も残りを半分に割った1時間ころの3等分型が基本の形になるはずです。もちろんFCY(フルコースイエロー・全コース速度制限)SC(セーフティーカー先導走行)などが入れば燃費は良くなりますし、タイヤは予選から3セッション目となるのでいつペースを維持できなくなってしまうかわかりません。
GT500だと満タンで200kmは走れるそうで、単純計算富士だと1周90秒、1時間で40周・180km、なので1スティント1時間以上は走ることは可能なようです。とはいえ、タイヤの本数が減っているため持ち込みのタイヤ選択の難易度が上がっており、コンディションにベストマッチなタイヤを揃えることは困難で、単純に3時間ずっとベストなペースを発揮できるかわかりません、臨機応変な計算やチーム力が問われる場面もあるかも知れません。
タイヤの闘いといえば開幕戦ではGT500/GT300共にブリヂストンがコンディションにマッチしたようで予選2セッションのタイム差(ユーズドタイヤでのアタックでもタイムが出せた)や、GT300では無交換で走り切るチームがあったなど、スピードと耐久性のバランスが、やや抜きに出た感はありました。開催間隔が短いのですが今回にむけて対策が取られたりしたのでしょうか。
短い新車開発期間に苦戦したCIVIC TYPE R-GTも無事に開幕で活躍しました。前回は不運なアクシデントで出遅れた感のある#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTですが、ちゃんとパフォーマンスを発揮できればどんなレースになるのか注目です。
<5/3予選>
天気良く五月晴れを通り越し初夏を思わせる強い日差し、予選開始前に38℃まで路面温度が上昇しています。開幕ではややセットアップに苦心した#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTですが、今回大幅に方向性を変えて持ち込んだセットがハイレベルで走り出しから好感触、セットアップも迷い無く良い方向へ進み午前の走行ではトップタイムを記録。その調子のまま臨んだQ1をトップタイムで通過、逆にこの好調さがプレッシャーになるQ2でも渾身のアタックを決め僅差のQ2 3番手タイム、合算タイムで堂々の予選総合1位を獲得。塚越選手は6度目、太田選手はSuper GTで初、チームはAstemoになってから初のPP(ポールポジション)です。
#30 apr GR86 GT公式練習で悩みました。車体のバランスは良いのだが本命と考えていたソフト系のタイヤがコンディションにマッチしないようなのです。今期チームはフロントタイヤを710から680へ小経化しておりそのバランスとりもしながらであるためタイヤのチョイスが大変です。急遽Q1には今日はまだ一度も走らせていないハード系のタイヤを使用することとしましたが果たして、結果は良好。グリップは上がっても車のバランスは維持したままで走りごたえのある仕上がり。自己ベストを重ねながらのアタックラップでしたがスロー走行している車両に引っかかってしまい不発、それでもQ1上位組に入る7番手タイムを記録できました。Q2でさらにポジションアップを狙いたいところでしたが午前中よりあきらかに攻められる車に仕上がっていたことが災いし、アタックラップで4輪脱輪してしまいタイム抹消、良いタイムを残せませんでした。予選総合19位となりましたが決勝でのパフォーマンスが楽しみになる予選でした。
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTも走り初めからバランスは悪くなく、予選決勝に向け持ち込みのセットの確認調性、タイヤの確認などスケジュールを順調に進めますが今一つタイムが伸びません。コンディションとタイヤのマッチングの僅かなずれでパフォーマンスを発揮しきれていないようで公式練習のタイムは中段の15番手。予選にむけて調性を試みますが乗りづらさの方が強くなってしまいQ1は僅差で9番手。Q2では合算タイムで下位グループからの繰り上がりを目指しますが、アタックラップでまさかのブレーキトラブル。大事には至りませんでしたがタイムロスとなってしまい予選総合20位が確定。
苦手と言うわけではないがなぜか富士での上位入賞が少ない#96 K-tunes RC F GT3、その入賞の際は予選でも上位通過をしており、今回も予選から弾みをつけてコースを攻略したいところです。午前中の公式練習では全体ベストから0.85秒差の11番手。groupBでQ1に挑む#96 K-tunes RC F GT3はゆっくりコースイン、タイヤをいたわる丁寧なウォームアップから5周目に出したタイムが3番手、Q2は上位組となりました。続いて行われたQ2は最後にコースイン、徐々にペースを上げていき3周目に4番手タイム、4周目セクター1全体ベスト、セクター2自己ベストでセクター3次第でジャンプアップの可能性ですがGR Supraコーナーでマシンの体勢を乱してしまいタイムアップならず、合算タイムで予選総合7位となりました。
<5/4決勝>
土日合わせて88,000人をこえる観客が訪れた富士スピードウェイ。決勝レースは定刻にローリングスタートで始まりました。路面温度は41℃を越え陽炎の立つストレートをGTマシンが加速しながら通り過ぎていきます。ポールスタートの#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはオープニングの1コーナーで一つポジションダウン、その後はタイヤの内圧が上がりすぎてしまい思った様にペースを上げられないようです。17周目のFCYが開けると後方とのギャップが詰まってきました、23周目1コーナーでアウトに飛び込まれますが互いに譲らず併走のままコカ・コーラコーナーまで進みましたがここで前に出られてしまいました。このころから無線トラブルが出始めピットとのコミュニケーションに問題が出始めました。1時間経過を目前にした34周目、状況を打開する為早めに1度目のピットストップを実施、短めの給油とタイヤ交換をして10番手でコース復帰、39周目にはアウトラップのライバルをパスして2番手に返り咲きました。ラスト1時間となる74周目に2番手走行中に最後のピットイン、給油にドライバー交代とスムーズに行きますがタイヤ交換で若干ロスがありポジションダウン。全車ピットを終えた80周目に4位が確定しますがここから表彰台を目指して猛烈な追い上げを開始、94周目には3位とのドックファイトが勃発しここから10周に渡りコースのいたるところで果敢な攻めが見られました。最後は104周目のヘアピンの突っ込みでオーバーランして万事休す、4位のままチェッカーかと思われましたが111周目に3位が突然のマシントラブルでリタイア、残り5分で表彰台に滑り込みました。予選からの好調さを思えば悔しい結果ですが、ニューマシン2戦目でのPP&表彰台獲得はチャンピオンシップ争いでも大きな一戦となったのではないでしょうか。次戦での活躍にも期待が高まります。
ウォームアップでは16番手と控えめなタイムを記録した#96 K-tunes RC F GT3ですが、いざスタートするとオープニングラップで早速ポジションをあげ6番手。序盤の上位は順位変動なく進みますが5番手との差は徐々につまっていきました。17周目のFCY開けでやや広がってしまいますが逆に7番手からのプレッシャーが厳しくなってきました。21周目にGT500の激しい上位争いに遭遇したタイミングでポジションダウン、24周目にもう一つ落として8番手、ペースが急に落ちてきたため予定より速いタイミングですが26周目にピットイン、フルサービスでドライバーも交代しコースには23番手で復帰し、抑え気味のペースで周回しますが半分以上の車両がピットを終えた37周目には16番手まで浮上。その後トップ以外がピットを終え13番手を走行していた44周目、突然左リアタイヤがホームストレート上で破損。ピット入り口を過ぎた所だったためほぼ1周を3輪で走らなければならず大幅なタイムロス。幸い車体のダメージは軽微でタイヤ交換して無事レースに復帰しましたがほぼ最後尾の24位まで後退となり、残念ながら勝負権を失ってしまいました。その後はペース良く周回し76周目に最後のピットイン、ドライバーも交代し残り47分ニュータイヤで追い上げました。トップグループと同等のハイペースが出だすとチェッカーまでに7台をパスして17位でレースを終えました。タイヤトラブル以外は順調で充分ポイントを狙えただけに悔しいレースとなりました。しかしこれもレース、今回の内容を得意の鈴鹿に向けてフィードバックするだろうと考えると第3戦が楽しみになりました。
長時間レースはどのような展開になるか分からない、中段からのジャンプアップを狙う#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTですが、スタート直後のダンゴ状態での位置取りが悪く一時は21番手までダウンしますが流れが落ち着いてきた12周目には19番手に戻し、さらに前を追いかけました。2セッションを終えたタイヤでもペース良く24周目に1台パスして16番手。その後27周目に1回目のピットインで給油・タイヤ交換にドライバー交代も実施し23番手でコース復帰しました。しかし走行開始した直後からマシンの違和感が報告されます。直進でもブレーキングでも問題が発生し緊急ピットインです。タイヤを交換しマシンチェックに1分ほどを費やしコースに送り出しました。原因は想定外のピックアップ(タイヤが路面の異物を拾うこと、パフォーマンスの低下や破損の原因になる)と考えられます。最後尾からのレースとなってしまいましたがその後は順調に周回を重ね53周目には23番手にポジションアップ、ほどなく2度目のピットストップが始まり18番手まで浮上した71周目に#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTも最後のピットストップ。フルサービスに加え再びドライバーも交代し最終スティントに向かいました。直ぐに自己ベストを更新するなど終盤は上位陣と遜色のない走行をし、ファイナルラップにも1台パスして20位でフィニッシュしました。決勝中のファステストを記録するなどマシンにポテンシャルはある、しかし今回はトラブルもあったしベストでは無かったとはいえ、ライバルと戦うにはもうワンステップ上の強さが欲しい状態。次戦の鈴鹿までのテストでさらに牙を磨きたいところです。
#30 apr GR86 GTはオープニングラップの混戦に乗じて二つポジションを上げ17番手でホームストレートに帰ってきますが2周目に後方から接触され21番手まで後退しますがそこで踏みとどまりポジションをキープ、その後上位のピットインもあり9番手まで浮上した35周目に#30 apr GR86 GT一回目のピットイン。給油にドライバー交代、4本のタイヤは予選と同じハード系のニュータイヤに変更、このスティントはロングランを目標にチャンスがあればプッシュするスタンス。実際前半は期待に応え22番手から19番手までポジションを戻しますが、ここから最高速で勝るFIA GT-3を相手に一進一退、やがてタイヤがピークを過ぎ動きがピーキーになってきた74周目にヘアピンの立ち上がりでスピン、マシンにダメージはありませんが30秒ほどタイムロスしてしまいました。79周目にようやく最後のピットイン。20番手でコースに戻りますが、今度のタイヤはコンディションとのマッチングが厳しくタイムを伸ばすことは出来ません。そんな中でも安定したラップでポジションを守りましたが、最終盤にグリップが落ちてくるとそれも難しく22位でチェッカーを受けました。クルマのコンディションは良いため次回の鈴鹿に向けて収穫の多い一戦となった模様です。
GT500は予選2位から#3 Niterra MOTUL Z ホールショットを決めると実質最後までトップを譲ることなく優勝、2位にも#23 MOTUL AUTECH Zが入りニスモの1−2フィニッシュです。
GT300は#88 JLOC Lamborghini GT3がポールトゥウイン、序盤から2位とのギャップ広げて行き、2度のピットを経ても実質トップを手放さず、結局最後までリードを保ってチェッカーを受けました。
第2戦も応援ありがとうございました!絶好の観戦日和となり観客の皆様にはゴールデンウィークの楽しい思い出となったのではないでしょうか。もちろん配信でお楽しみの皆様にも見応えのあるレースだったのではないでしょうか?オベロンがサポートする17 Astemo CIVIC TYPE R-GT がCIVIC初優勝を決められるかと思いましたが次回に持ち越しとなってちょっと残念でしたが、開幕の雪辱をはらした良いレースだったと思います。#96 K-tunes RC F GT3、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 、#30 apr GR86 GT の3チームもそれぞれ収穫のあるレースだった様で次回以降がたのしみです。6/1~2の鈴鹿も3時間レースで富士をふまえたドラマチックな闘いが繰り広げられるのではないでしょうか。第3戦も引き続きの応援よろしくおねがいいたします!
■公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2024/Round2
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=13847
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2024_sgt_lmcorsa_report_02_Fuji_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://supergt.net/upload/30_rd2_FSW_rep.pdf