2024 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE

■レース概要
開催場所:岡山国際サーキット
開催日:2024年4月13日(土)~14日(日)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT予選10位 決勝DNF

・GT300
#96 K-tunes RC F GT3予選4位 決勝6位
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選15位 決勝12位
#30 apr GR86 GT予選No Time 決勝23位

前身となる全日本GT選手権から数えて30年目をむかえたSUPER GT は、今シーズン重要なレギュレーションの変更がありました。環境への対応の一環として、2022年までは1レース6セットだったのが段階的に削減し、今シーズンは4セットとなりました(ウエットタイヤは除く。未勝利タイヤメーカー、レース距離300km以上は別途)。(ちなみに、GT300でも環境への対応の一環となるカーボンニュートラルフューエルGTA R50の導入もはじまりました。)
さらに予選Q1〜Q2〜決勝スタートを1セットで対応せねばならず、レース後半にもう1セット使うとすると、のこりは2セット、セッティング用か予備はどうするか、持ち込み数量に余裕がないので約1ヶ月前に発注しなければならないタイヤの選択も大変。
今シーズンGT500はダウンフォース減少、GT300は追加重量でタイヤへの負担は増える一方。さらに、近年注目されるウォームアップ性能は高めつつロングライフ性能も重視しなければなりません。もちろんそんなスーパーなタイヤは無いわけで、良いところを見つけて運用するチーム力、さらにドライバーのパフォーマンスやテスト・開発の重要度もいままで以上に高まりそうです。
予選のポジションは上位フィニッシュに大きく影響するのは間違いなく、そのためにもQ1Q2の合算タイムで争われる新方式も新しい課題です。2セッションを通じて少しでも上位に、しかしタイヤには無理をさせないように難しいアタックになるでしょう。
さらにオベロンのサポートチームとしてはGT500#17の車両が変わったことは大きなトピックです。NSX-GTから正常進化を果たしたCIVIC TYPE R-GTですが、テストではボディ形状の違いもありコーナリングマシンからキャラクターの変化を垣間見せています。しかしまだ走り出したばかりの新型車、今シーズンを通してどのような活躍を見せてくれるでしょうか。
300kmの周回数は82周、一度のドライバー交代を伴うピットイン義務がありそのミニマムの周回数はGT500で28周です。

<4/13予選>
レースウィークは絶好の観戦日和となった岡山国際サーキットですが、例年にない陽気で難しい開幕戦が予想されました。
このレースまず注目を集めるのは新車投入となるホンダ陣営、5ドアのCIVIC TYPE R-GTになった事でダウンフォースはマイルドになりストレートスピードやトータルの乗りやすさが向上しているとの事ですが、事前テストも使ってギリギリまで開発を続けたため、開幕に向けた精密なシミュレーションまでは手がまわらず、今回のレースはテストからの苦戦を引きずるかと思われました。実際#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTのフリー走行時はアンダーステア傾向でグリップも足りていない様でした。しかしセッティングを重ね良い方向を掴むとテスト時より状況は前進し午前は6番手タイム、そこから予選までの短い時間にも手を入れました。#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはエース塚越 広大選手の新パートナー、昨年SUPER FORMULA初優勝で勢いに乗る注目の若手太田 格之進選手が新システムの予選Q1にチャレンジ。グリップレベルは改善方向で大きなミスもなく10位。状態のフィードバックをうけた塚越選手がユーズドタイヤでのQ2を攻めて6位タイムを記録しますが、合算タイムで予選は10位に確定しました。
#30 apr GR86 GTもドライバーラインナップに新しい顔ぶれが加わりました。第1ドライバーは昨年同様永井 宏明選手ですが織戸学選手が第3ドライバーに回り、第2ドライバーに昨年高校生でF4チャンピオンに輝いた小林 利徠斗選手が抜擢されました。フリー走行ではタイヤと想定よりも高い路面温度へのマッチングを中心に走りはじめ中盤から小林選手がハンドルを握り習熟につとめました。そのままQ1に小林選手で挑みましたがウォームアップ中の3周目にトラブルが発生、パドルシフトが作動せず4速にスタックしてしまいQ1はノータイム、ルール上ピットレーンスタートが決まってしましました。Q2はチェック走行ができトラブル解消を確認できました。決勝はレース距離が長くクラス違いの混走が初体験となる小林選手の走りに注目です。
マシンのリフレッシュやアップデートを進め、事前テストでも手応えを感じている#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは、ドライバーと共にセッティングを進めていくトラックエンジニアを、チームの母体である大阪トヨペットのベテランが担当となり心機一転。開幕戦は走りはじめから順調で高温のコンディションも味方にしつつ予選B組Q1に突入、入念にウォームを重ねニュータイヤでのアタックは2周に渡りましたが0.02秒差でトップ8入りを逃しQ2はグループ2でタイムアタック。ユーズドタイヤで果敢に攻め、グループ3番手でチェッカーをうけました。合算タイムで予選順位は15位。違う組でQ1を走っていれば10位付近のタイムだったこともあり手応えを感じていたチームとしては、抜きにくい岡山ではもう少し前からスタートしたいところでしたが、決勝は良いペースを狙えそうなので追い上げて上位フィニッシュを目指します。
開幕戦の岡山を地元とする#96 K-tunes RC F GT3のドライバー・チーム体制は前年を踏襲。しかしマシンのカラーリングは印象をグッと変えて来ました。参戦以来日本をテーマにデザインしており今回は戦国時代のバサラをモチーフにしているとのこと。今シーズン重要性がさらに高まるタイヤは開発を始めて5年目となるダンロップ、果たしてそのマッチングは深まっているでしょうか。午前中の走行は2位で終えますが路面温度の高まりとともにタイムが伸びておらず懸念事項になりました。Q1B組となった#96 K-tunes RC F GT3は開始早々にコースイン、タイヤの消耗に注意しながらも4番手タイムを記録。上位組に進出できたQ2で出した3番手タイムはQ1を更新できませんでしたがその差は0.07秒の僅差、ベテランドライバー二人がタイムを揃え合算でも予選4位を確定しました。

<4/14 決勝>
引き続き初夏を思わせる日差しがまぶしい岡山国際サーキット、路面温度はこの時期には異例の44℃まで上昇しています。
昨日から変更を加えたセットで臨む#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは、決勝前のウォームアップでクルマのフィーリングがかなり良くなったことが確認でき、決勝での追い上げに期待がかかります。定刻通りローリングスタートでレースが始まると1コーナーでの中段の小競り合いから端を発した混乱が発生、冷静に1台をかわしましたが今度は直前の車群がリボルバーコーナー出口で接触、スピン車両が#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTのラインを塞いでしまいました。避けようにもオープニングラップゆえ右にも左にもクルマがいたため回避もできずに接触。遠目には大きなダメージが無かったのですが冷却系などが破損しその場でリタイアとなってしまいました。決勝のクルマの感触が良かっただけに残念ですが、次戦は予選から上位の進出しCIVIC TYPE R-GTのポテンシャルを存分に発揮したいところです。

中段からのスタートとなった #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT はSC(セーフティカー)が入った混乱のオープニングラップでひとつポジションを上げ、予選2本を走ったタイヤをいたわりつつペースを作り12周目には自己ベストを更新しながら前を走るライバルを猛追。やがて20周を超えたあたりフロントタイヤの手応えが怪しくなってくると後続からのプレッシャーが強くなってきますが要所を押さえてポジションをキープ。ピットに戻るクルマが出始め10番手まで浮上した27周目にピットイン。ドライバーを交代し給油にタイヤ4本交換のフルサービスをして21番手でコース復帰。前後にスペースのある位置に戻れたので気持ち良く単独走行ができ32~33周目には連続して自己ベストを更新。35周目には15番手、38周目には13番手、上位と遜色無いラップタイムを記録しながらポジションアップしてきましたが、ここから6番手までが数珠つなぎのテールトゥノーズ。コーナリングスピードに優れる#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTですが、立ち上がりやストレートに強いFIA GT3車両相手に岡山では中々パスしにくく、タイム的には速くても抜ききれない展開に。終盤までポジションを入れ替えながら戦いましたがポイント圏まで後一歩の12位でチェッカー、しかし展開によっては充分ポイントを狙える位置とスピードがありました。スタート位置が良ければまた違った展開が考えられるので予選対策が課題になるかもしれません。

#30 apr GR86 GTの決勝はGT300の集団がコントロールラインを通過し終えてからピットレーンスタート。最後尾のさらに後方からの追い上げになるところでしたが、オープニングラップの混乱でこのギャップは無くなり追い上げに集中、ペース良く周回し22番手までポジションアップしますが12周目バトルの中で後方から接触され右のリアタイヤを痛めてしまいました。白煙を上げながらもピットにもどることが出来ましたがこのトラブルで残念ながら周回遅れに。ここで作戦を変更しミニマム周回でドライバーを交代しデビュー戦の小林選手の周回数を多くとることで今後のレースの糧とすることにしました。小林選手は無事49周を走りきり最後尾から3つポジションを上げた23位でフィニッシュしました。開幕は想定外の高温やトラブルに振り回されてしまいましたが次戦以降につながるレースとなったのではないでしょうか。
優勝を狙えるポジションからのスタートとなる#96 K-tunes RC F GT3ですが高まっている路面温度と2セッションの予選を走ったタイヤのマッチングが気になります。果たして、オープニングの混乱で2つポジションを落としますがタイヤをいたわりながら安定した周回をかさねることができ、27周目にピットインするときには3位集団にぴったりつける位置まで追い上げていました。コースに復帰した時点の20位からニュータイヤでペースアップ、33周目すでにピットを終えた車のなかでは9位まで回復。7位走行中の50周目には全車のピットが終わりました。この時点で6位とはテールトゥノーズさらに後方は12位までがトレイン状態の大混戦。58周目ついにアトウッドで#96 K-tunes RC F GT3が6位に上がるとその集団を抜け出します。5位とのギャップを詰めていき66周目には2.2秒差となりますがそれ以上は中々縮まりません。その後終盤まで状況は変わらないまま進み開幕戦を6位で終えました。ベテランドライバー二人がタイヤをマネジメントしながらも安定したペースを刻めたのが地元での好成績につながったのではないでしょうか。

GT500は2023チャンピオンの#36 au TOM'S GR Supra が公式練習、予選、決勝と全てのトップをとる完勝。チームは昨年の第7戦からの三連勝。
GT300は2023シリーズ2位の#2 muta Racing GR86 GTがポールトゥウイン、タイヤ無交換作戦で走り切ったので予選から決勝までタイヤ1セットで戦ったことになります!

開幕応援ありがとうございました!2024シーズンが始まりました、今シーズンは勢力図が変わるかも知れないレギュレーション変更で始まりましたがフタを開けてみると昨年の上位チームが実力を発揮していました。オベロンは今シーズンも引き続き#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT、#96 K-tunes RC F GT3、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 、#30 apr GR86 GT の4チームをサポートします。シーズンオフから更なる前進をめざして取り組み、どのチームもポディウムに上がるだけの実力を蓄えた所ばかりです、今シーズンも4チームのチャレンジに是非ご注目ください。次戦は初開催の3時間レースが行われる富士大会です、応援よろしくお願いいたします!

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2024/Round1
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=13760
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2024_sgt_lmcorsa_report_01_okayama_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://supergt.net/upload/30_rd1_Okayama_rep.pdf