2023 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT 450km RACE
(2023 SUPER GT 第4戦 FUJI)

■レース概要
開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2023年8月5日(土)~6日(日)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo NSX-GT予選5位 決勝7位

・GT300
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選14位 決勝10位
#30 apr GR86 GT 予選19位 決勝13位
#96 K-tunes RC F GT3予選12位 決勝23位

ウエットタイヤ(レインタイヤ)は路面が濡れていることが前提で作られたタイヤです。しかしレースは自然環境のもとで行われるためきっちり路面状況が分かれているわけではありません。ずっと雨が降っていればシンプルなのですが、現実には降ったり止んだりと言う場面も多く、水はけの良いサーキットの路面は走っている車の熱もあって乾いて行くのが早く、レース中に路面コンディションが変わっていく場面も多く見られます。ウエットタイヤにとっては水の量、ドライタイヤへ交換するまでになる温度や路面の変化など、幅広い条件が守備範囲でありワイドに構えながらもどこに注目するかがタイヤメーカーの腕の見せ所です。
たとえば近年注目を集めているのは、本格的な雨のハードウエットより水の少ないダンプコンディション、つまりドライタイヤとウエットタイヤがオーバーラップする場面に注目したタイヤです。実際にドライタイヤに交換するまでの数周で秒単位アドバンテージを稼ぐ場面もありました。具体的にはコンパウンドや構造の違いもあるでしょうが一番の違いは溝のデザインで細く細かくなる部分を減らしブロックを大きく取ってある所。乾いてきた路面を激しく走るとタイヤ温度が上がり細かいブロックは物理的に壊れてしまうことへの対策です。ただこういったデザインはハードウエットが苦手でチームの作戦と緊密に連携して使う必用があるのではないでしょうか。

<8/5 予選>
約2ヵ月ぶりとなったSUPER GT、その間各チームは車両のリフレッシュ、テスト、データの精査や新しいセッティングに取り組み戦闘力を上げる努力を惜しみません。シーズン後半にむけその成果がためされます。夏休み前半の富士は土曜の予選から多くのお客様が訪れ、9時には30度を超える夏らしい青空の元公式練習、予選が行われました。
#17 Astemo NSX-GT、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT、#96 K-tunes RC F GT3の3チームはアップデートやニュータイヤなどにポジティブなフィーリングでしたが、#30 apr GR86 GTは持ち込みのセットが想定どおりに機能せずピットにとどまる姿が目立つ公式練習となりました。午後になりさらに暑くなる中予選がはじまります。今回も450kmで2度の給油が義務付けられる長いレースですが、有利なポジションでレースを進めるために予選上位を狙う準備を進めてきた#17 Astemo NSX-GTは1周目のアタックラップでQ1を突破、Q2でも順調にタイムアップし今シーズン予選最上位の5位を獲得、明日の決勝に期待がかかります。
#96 K-tunes RC F GT3は公式練習から順調にメニューをこなし良い印象のまま予選に突入、コンディションにジャストフィットなセットでQ1を3位で突破。Q2ではややコンディションがかわりタイムを伸ばせず結果12位で予選を終えました。しかし決勝は十分にポイントを狙える位置からのスタートです。 車両の開発が進む#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはロードラッグとダウンフォースのバランスが向上し、ハイスピード区間のセクター2でも素晴らしいタイムを記録。Q1を6番手で突破、Q2では決勝を見据えたタイヤチョイス故かややタイムが伸びず予選14位となりました。新しいダンロップタイヤにも手ごたえを感じておりポイント圏内での争いに期待がかかります。
#30 apr GR86 GTは若手ドライバーにQ1を託しましたがQ1A組敗退。セットアップに時間がかかった分習熟がややたりなかった中でもあと0.19秒までのところまで来ました。決勝に向け車はまとまる方向を見せており予選とは違った戦いを見せてくれそうです。

<8/6 決勝>
台風6号の接近で日曜は不安定な天候が予想され、実際早朝は青空でしたが10時を過ぎるころから雨は降ったりやんだり。スタート前に激しく降りますがそこから天候は回復傾向が予想されタイヤ選択に悩まされます。コンディションの影響で通常とは違うSC(セーフティーカー)先導でレースが始まりました、この時点では全車ウエットタイヤ、3周目にSCが外れ真っ白な水煙をあげながらストレートを駆け下りていきます。
#17 Astemo NSX-GTは3周目に一台抜いて4位に上がりますが、スタート前の作業違反の裁定がおりドライブスルーペナルティの通知、11周目に消化し順位を10位まで落としてしまいます。ちょうどこの頃各車スリックタイヤに交換するタイミングで、#17 Astemo NSX-GTも再びピットに戻りタイヤ交換と給油を実施し最後尾15番手でコースに戻ります。すぐに14番手に浮上しベストタイムを更新しながら周回しますがその差を詰めるのは容易ではありません。しかし33周目にコース上のトラブルでSCが導入され、ライバル達とのギャップが一気に縮まりました。レースが再開すると2周で3台を抜いて11位、50周を前に9位に浮上、すぐに各車2度目のピットインのタイミングがはじまり#17 Astemo NSX-GTも4位となった57周目にドライバー交代も含めたピットインを実施、8位でコースに復帰するとこのまま最後まで攻めきる予定です。じりじり前との間合いを計っていた64周目ふたたびSCが導入されるトラブルが発生、今度は赤旗中断に発展しました。さらに隊列を組んでストレートで待機中に激しい降雨がありコースは再びウエットに。雨量が多くそのまま待機場所でウエットタイヤへの交換が許可されました。レース再開前に雨は上がり周回ごとに路面は乾いて行くと予想されます。残り29周で再開すると79周目、82周目に一台ずつ抜いて6位、87周目には3位まで浮上しました。このまま逃げ切れるかと思われましたが残り7周あたりから後続に追いつかれ最終的には7位でフィニッシュ。序盤で最後尾までポジションを落としましたが、諦めないドライバーの集中力とチーム力とでここまで盛り返したことは次の鈴鹿に繋がる結果だったのではないでしょうか。

綺麗にスタートを決めた#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTですがどうやら乾いていくコンディションにウエットタイヤがマッチせず徐々にポジションを下げてしまいます。18位になった段階で早めですがドライタイヤに交換し給油もすませてコースに戻りました。その後追いかけるようにライバルたちもタイヤ交換に入ったため一通り終わった段階で14位に浮上していました。ここから仕切り直して行きたいところですがドライタイヤも雨で冷えた路面では昨日のようなパフォーマンスを発揮できず、ポイント圏まであとわずかのポジションをキープするのが精一杯となってしまいました。我慢の走りを続けましたが折り返しを迎えるところで二度目の給油とドライバーチェンジ。選んだよりハードなドライタイヤは良好なフィーリングで自己ベストを更新するとじわじわ前とのギャップを詰め、ポイント圏まであと5秒となったところで2度目のSCからの赤旗。再スタート時のウエットタイヤはレース序盤に選択したものよりハードなコンパウンドを選択、走り初めこそ苦労しましたが熱が入るとタイムアップ、見る見るうちにポジションを上げていきます。フィニッシュに向け乾いていく路面を見た上位陣はドライに変えていきますが、同じ戦略をとっては短い時間で逆転できないため#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはウエットタイヤのままで走り切ることを選択。ファイナルラップは3位で迎えますが最後の最後にドライタイヤの車両に抜かれ4位フィニッシュ、その後最終コーナーでライバルに接触してしまったことに対してのペナルティで40秒加算となりリザルトは10位となりました。今回は持っている力をすべて発揮できたとは言えませんが難しいコンディションの中、潜在能力に手ごたえを感じることができ次回がたのしみになる一戦でした。

#30 apr GR86 GTが選んだウエットタイヤは今日のコンディションには厳しいようで、乾いていくにつれオーバーヒート気味。たまらず10周目にドライタイヤに交換するとおもに給油、ドライバー交代も済ませ24位でコース復帰するとそこからペースを作り直します。少しずつポジションを戻し1度目のSCの時点で20位、レース折り返しのあたりの17位の時点で2度目のピットイン、興亜hンを若手ドライバーに託します。その後全車二度目のピット作業を終えた時点で18位、二度目のSCがあけた時点で17位、ウエットタイヤで9位まで追い上げた残り8周でドライタイヤへ交換13位でコースに復帰するとそのままの順位でフィニッシュ。今週は走り初めからセットアップに悩みましたが決勝は大きなトラブルなくポイント圏まであとわずかなところまで戻ってくることができました、次の鈴鹿はホームコースなのでさらに戦いやすくなるはずです。
#96 K-tunes RC F GT3が選んだ新しいウエットタイヤは、テストするタイミングに恵まれずほぼぶつけ本番での投入となりましたが、乾いていく路面とのマッチングに光るものを見せました、12位からのスタート後一周目に9位、6周目に7位、9周目には6位とスピードを発揮し4位に浮上した11周目に満を持してドライタイヤへ交換しましたがこのタイミングでステアリング系に電気系のトラブルが発生、ピットで修復する間に4LAP差が付き勝負権をなくしました。その後は大きなトラブルは無いどころか上位と同等の走りを見せそのギャップは広がることはなかっただけに残念なトラブルとなりました。しかし新しいドライタイヤもウエットタイヤも良いマッチングを見つける事ができ今後の鈴鹿をはじめとする後半戦に期待が高まります。

GT500は乾いていく路面を異次元の走りで制した#3 Niterra MOTUL Zが今季初優勝ランキングもトップに躍り出ました。
GT300は残り10周でドライタイヤに賭けた#11 GAINER TANAX GT-Rがラストラップを前に逆転、劇的な優勝を飾りました。

第4戦も応援ありがとうございました。序盤から終盤まで見どころが多くて目の離せないレースでした。ラストラップなど#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTの走りに手に汗握りました。今回はポイント出来たチームも残念だったチームも新たな手応えを感じていた模様でリザルト以上に8/26~27の第5戦鈴鹿が楽しみになりました。引き続き応援よろしくお願いいたします!

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2023/Round4
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=13288
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://www.as-web.jp/supergt/976786
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/975299
#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/976239