2022 AUTOBACS SUPER GT Round6 「SUGO GT 300km RACE」
(2022 SUPER GT第6戦 FUJIMAKI GROUP SUGO)

■レース概要
開催場所:スポーツランドSUGO
開催日:2022年9月17日(土)~9月18日(日)
(17日…曇/ドライ、18日…曇/雨/ドライ/ウェット)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo NSX-GT予選5位 決勝12位

・GT300
#30 apr GR86 GT 予選16位 決勝20位
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選2位 決勝15位
#96 K-tunes RC F GT3予選-位(タイム抹消) 決勝9位

今シーズンSW(サクセスウエイト)がフルで適用されるのは最後、つまり成績による重量ハンデが一年を通じて一番きつい大会です。そのウエイトそのものは素材と比重が指定されているだけで形状は自由であり、50kgまでの搭載位置はGT500が運転席下(51kg以上は燃料リストリクターで燃料を絞ってパワーを調整する)、GT300の場合は助手席部に搭載で51kg以上は任意の場所(GT3の搭載位置はGTAが指定する場所)となっています。
50kgで1秒遅くなるともいわれているSWですが、車によって影響の出やすさに違いがあります。比較的エンジンのトルクが大きいFIA-GT3車両より、車重が軽くパワーも抑えられているGTA-GT300(スープラや86)GT300MC(MC86)の方が重量の変化に敏感(ウエイト感度が高い)と言われています。例えばGTA.GT300の#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは総重量が1300kgを超えると大きくタイムに影響が出るといいます。SWでちょうど50kgが一つの節目になっているようです。

<9/17 予選>
秋の大型連休の前半となり絶好の観戦シーズンですが、大型の台風が本州に接近中。まだ東北は本体から遠いものの雨の影響が心配される週末です。幸い土曜は時折日差しもさす好天に恵まれました。路面温度は33度強めの南風が吹いています。
昨年はここで表彰台を獲得しているGT500の#17 Astemo NSX-GTはSWで燃料リストリクターが2段階絞られており当時よりエンジン出力が絞られています。勾配の厳しいSUGO特有の厳しさがあるかもしれません。公式練習が進むにつれ予選への手ごたえを感じますがタイムはふるいません。渾身のアタックでQ1に8位で滑り込むとQ2ではさらにタイムアップし5番手タイムを記録、最終的には上位にペナルティが出て予選は4位となりました。抜きにくいSUGOで幸先の良いポジションです。
持ち込みのセットがバッチリハマった#96 K-tunes RC F GT3は公式練習から好タイムを記録。午後のQ1ではA組4位で難なく突破し、Q2では早めのアタックでトップタイムを出すとそれを上回るライバルは現れず予選1位を手にしましたと!思いきや予選後の車検でSWが僅かに不足していたことが判明。記録はノータイムとなり決勝は最後尾からのスタートとなります。イージーミスですがドライバーも車も好調なので決勝では切り替えた走りが期待されます。
昨年のSUGOでは予選3位から5位入賞を果たしたGT300 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT。今年の方がSWは軽く済んでいますが、BoP(バランスオブパフォーマンス/性能調整)の方は厳しくストレートスピードに響いています。しかし今大会も走り始めから車のバランスは良く、コースにラバーが乗ってくるとともにタイムアップ。Q1B組を6番手タイムで突破すると、じっくりウォームアップしたQ2では3番手タイムを記録、前述のとおり#96 K-tunes RC F GT3のペナルティで2位に浮上し、明日の決勝は今季最上位のフロントローからスタートすることになります。
前回欠場したドライバーが復帰しチームのムードも良い #30 apr GR86 GT。今回課せられたSW42kgはデビューイヤーのGR86にとって初体験のウエイト。コーナリングスピードでタイムを稼ぐスタイルなので影響がないとは思えませんが公式練習で順調にセットアップが進み、午後の予選では午前の走行より1秒以上タイムアップ。Q1B組を突破なるかと思われましたが僅かに0.03秒足りず敗退。決勝は16番手からのスタートとなります。

<9/18 決勝>
朝は青空が見える空模様でしたがやがて雲が増えていきスタートの14時にはすっかり厚い雲に覆われてしまいました。予報では終盤に雨の可能性です。
スタート後4番手を上手にキープし#17 Astemo NSX-GTとしては順調なレース運びと言えましたが、予報より早く12周あたりで雨が降り出したところから歯車がずれ出しました。まず無線の連絡がほとんど取れなくなりました(後にわかったのですが何かがぶつかりアンテナを根元から折ってしまっていたのでした)。これでタイムリーな情報交換ができなくなりピットインの指示もサインボードに頼らざるを得ません。18周目にようやくレインタイヤに交換し10位でコースに戻ります。コースやマシンの状況を共有できないままの状態は、めぐるましく状況が変化する雨のレースでは大きなハンデとなりました。34周目に通常のピットイン、フルサービスにドライバー交代もして12位でコース復帰。しかし路面は乾いていく方向でレインタイヤのままではタイムアップも難しく、しかしチームがその状況を把握することも難しく、49周目に再びスリックタイヤに交換し前を追いかけますがややタイミングを逃した感があり終盤大きな順位変動なく12位でチェッカー。今回は不運が重なった結果だと切り替えて自らの高い競争力を信じ、残り2戦の巻き返しに期待が借ります。

フロントローからのスタートとなった#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは6周目に4位にポジションを落としますがそこで踏みとどまってペースを作っていたところ雨足が強くなってきました。雨は上がらないと判断したチームは急遽マシンを呼び戻しレインタイヤに換装、17位でコース復帰、ここから雨量が増えると威力を発揮するタイヤでしたが徐々に雨は弱まると同時にポジションもダウン。19位から15位まで戻した30周目にフルサービスでドライバー交代、レインタイヤも別スペックのものに変え、23番手でコースに戻ると早々にペースアップしますが40周をすぎると再び雨が弱まりだんだんレインタイヤには厳しい状況になってきました。18番手まで戻した46周目スリックタイヤに交換し21番手から追い上げますが15位まで戻したところでチェッカーを受けました。良いスタート位置からのレースで大量ポイントを狙える走りの手応えがあっただけに悔しい結果ですが、持ち込みのセットが安定してきているなど次のレースに向けて良い材料を生かした終盤2戦の戦いに注目です。

最後尾スタートとなった#96 K-tunes RC F GT3はピットスタートを選択しました。スタートタイヤを予選で使ったものからニュータイヤに変更できるルールを利用した作戦です。全車スタート後ピット前で交換しピットロードからスタートするというタイムロスも大きいものですが今回はスタート後にSC(セーフティーカー)入ったので実質ロスなくニュータイヤでレースを始められました。前半の団子状態のコースを慎重に走りながらポジションを上げていきますが18位に上げた14周目雨が強くなりピットに入る車が増え一気に8位にジャンプアップ、しかしウエット路面をスリックで走り続けなければならず苦戦しますが作戦上すぐにピットに戻ることはできません。26周目にようやく一回目のピットへ。フルサービスでドライバー交代もして何もなければそのまま最後まで走りきれるプランです。19位まで落としたポジションをすぐに回復していきます。40周を過ぎるとコンディションがレインタイヤには厳しくなってきますが8位となった46周目に二回目のピットインでスリックタイヤに交換、14位から9位までポジションを上げたところでチェッカーを受けました。最後尾スタートからポイントを獲得するとはタイミングの妙もあったかもしれませんが、スピードに自信をつけられる一戦だったのではないでしょうか。SWが減っていく残り2戦が楽しみです。

予選では波に乗り切れず中段からのスタートになった#30 apr GR86 GTはオープニングラップでライバルと接触があり、その際2ポジション落としてしまいますがなんとか踏みとどまります。雨が強くなった14周目はすぐにレインタイヤにチェンジし順位を落としますが4周もすると19位まで戻しました。雨足は弱まったり強まったりを繰り返す、タイヤ選択の難しいコンディションですが24周目、ミニマムの周回数でドライバー交代しレインタイヤでコース復帰。33周目には再び19位まで戻しますが、38周目今度は#30 apr GR86 GTがライバルに押し出されてコースアウト。大きなダメージは無さそうですがコース復帰に時間がかかってしまいました。その足でチェックを兼ねてピットに戻るとライバルに先んじてスリックに交換。この時点ではまだコースの一部が乾きだしたタイミングで、ほぼ最後尾まで落としますがコースはどんどん乾く方向。53周目には自己ベストを更新して追い上げますが、コースアウト時のタイムロスが響き20位まで戻したところでチェッカーを受けました。結果的には不本意なレースとなってしまいましたが、車は重い状態でも上位のライバルと遜色のないタイムを出せているのはわかりましたし、終盤戦は軽くなってゆくので再び上位を走る姿に期待がかかります。

GT500はミシュランタイヤの良さを生かす作戦と走りを実行した#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z が今シーズン2勝目を飾りました。GT300は難しいコンディションの中粘り強くミスなく走りきった#2 muta Racing GR86 GTが独走で優勝、今シーズンから走り始めたGR86の初優勝となりました。

第6戦の応援ありがとうございました。コンディションが目まぐるしく変わっていく難しいレースをどのチームも最善を目指してチャレンジしました。今シーズンも残すところあと2戦、10/1~2のオートポリスはSWが半減し激しい競合いが見られると思いますが、ここはタイヤに厳しいコースと呼ばれており一筋縄ではいかないでしょう。オベロンサポートの4チーム共に調子を上げてきており見所の多い戦いを続けています、引き続きご注目いただき応援のほどよろしくお願いいたします!

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2022/Round6
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=12646
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/GT2022_Round6_%E6%B1%BA%E5%8B%9D.pdf
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2022_SGT%E2%99%AF60_Report_rd.6_SUGO_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/865569