2022 AUTOBACS SUPER GT Round7 「FAV HOTEL AUTOPOLIS GT 300km RACE」
(2022 SUPER GT第7戦 FAV HOTEL AUTOPOLIS)

■レース概要
開催場所:オートポリスインターナショナルレーシングコース
開催日:2022年10月1日(土)~10月2日(日)
(1日…晴/ドライ、2日…晴/ドライ)

■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500

#17 Astemo NSX-GT予選4位 決勝1位

・GT300
#30 apr GR86 GT 予選18位 決勝17位
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT予選22位 決勝22位
#96 K-tunes RC F GT3予選21位 決勝8位

残すところあと2戦となった今シーズン第7戦、300km(65周)であらそわれ、ピットインは1回が義務となっています。そして7戦目となる車両はSW(サクセスウエイト)の適用が半減されます。
SUPER GTが行われるサーキットの中で最も標高の高いオートポリスは直線区間が少なく、コーナーが連続してつらなるテクニカルなサーキットです。特に後半はラインが限定され、タイミングが悪いとラップダウンの車に阻まれ秒単位のタイムロスが出る場合もあります(抜いてしまえば取り返せるロスですが)。同じようなタイムで周回していても特性(BoPも大きく影響しますが)の違いでしっかり減速して素早く立ち上がる車と、進入からスピードを保ち素早くコーナーを抜ける車は走りの組み立てが違うのでタイミングが合わないとオーバーテイクが難しくなるレイアウトです。したがって予選の重要度は高くなります。またタイヤに厳しいコースであるがゆえんかピックアップ(路面に落ちているタイヤカスがトレッドに張り付いてしまう減少、振動が発生し走行に影響がでる)の発生が多いのも特徴で、タイヤトラブルも比較的見受けられます。良いところを走っていても油断のならないサーキットです。

<10/1 予選>
すばらしい秋晴れの中始まった九州大会、ただ日差しが強すぎ路面温度はすぐに40度近辺まで上がり、各チームが想定していたのよりやや高めの様子。持ち込みのセットで問題無いとよいですが。
前回のSUGO戦の後にセットアップについて内容の濃いミーティングを重ねアイディアを出し合ってきた#17 Astemo NSX-GTは公式練習の短い時間の中で実際に試し、良い方向へ車をまとめていきましたがセッション終了間際、追い込んだ走りをシミュレーションしていたところコースアウトしウオールにヒット、フロントを大破してしまいました。エンジンから前の破損が酷く修復が完了したのはGT500のQ1開始5分前、慌ただしく予選に臨むとQ1をギリギリの8番手で突破、Q2はトップと0.4秒差の予選4位を獲得。後に判った事ですがQ1ではアライメントが取り切れていない状態だったとのこと、一時は予選出走も危ぶまれましたが見事な走りで挽回しました。
コーナリングマシンのGTA-GT300は本来オートポリスとの相性は良く#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTも活躍が期待されましたが、路面温度の影響か持ち込みのセットがマッチしないようで頻繁に調整を繰り返します、午前中一杯を使いギリギリまで調整と決勝のシミュレーションを続け、セッティングが進むにつれ状況は改善しつつあり予選ではタイムアップに期待をかけましたがQ1A組のライバル達に一歩及ばず明日の決勝は22位からスタートすることになりました。
好調な#96 K-tunes RC F GT3はSW(サクセスウエイト)の半減で競争力を高めますが、ここはタイヤに厳しいサーキット、決勝レースのロングランをみすえたタイヤの選択に力が入ります。公式練習から車のバランスやドライバーのフィーリングが良く、長い距離でのラップタイムも良くまとまっていましたが、予選ではライバル達のタイムの伸びが大きくQ1B組敗退、21番スタートとなりますが追い上げで力を発揮する仕上がりとなっており、決勝での走りに注目です。
午前の走りはじめは手応えがもう一つだった#30 apr GR86 GTは練習走行のあいだ様々な方向を探りながらセットアップを詰めていくとようやく方向が見えてきました。ドライバー交代を繰り返しタイムがそろってくると最後には充分戦えるバランスに仕上がりました。予選では練習走行より1秒半タイムアップ8番手タイムを記録しますが最後の最後に一台に抜かれQ1A組敗退、その差は0.07秒。瞬きの半分ほどのタイミングのアヤでした。決勝は18番手から入賞を目指します。

<10/2 決勝>
チャンピオン争いの激しさの増すシリーズ終盤、SWの影響があるのはこのレースまで、軽い車はなんとかその強みを生かしたい、重いクルマはいままで我慢していた分をとりもどしたい。そんな思いも錯綜する日曜の決勝。さわやかな秋晴れですが前日に引き続き路面温度は40度越えとなりました。
アクシデントから復帰した#17 Astemo NSX-GTは予選後も決勝に向けたミーティングを行いパフォーマンスアップの道を探りました。ウォームアップ走行で手ごたえをつかみ自信をもってスタートに臨みました。序盤はスタート時の4位をキープ、GT300車両に追いつきだすと3位とのギャップを縮め様子を伺っていると16周目に導入されたFCY(フルコースイエロー)が開けるタイミングを逃さず3位にポジションアップ、すかさずミニマムの規定周回数を過ぎると22周目にドライバー交代と早いタイミングで動きました。後半スティントの走行距離が長くなり終盤のペースが心配になりますが、予選から使っているタイヤを長く使うよりニュータイヤでのタイムアップのほうがトータルで有利になるといった判断です。インラップをプッシュしミスなく素早くピット作業を済ませると、先にドライバー交代を行ったライバルたちより前でコースに戻ることができました。タイヤの冷えているアウトラップからプッシュして順位を守り、全車がピット作業を終えた41周目ついにトップに立ちました。その後2位を走るライバルに詰め寄られる場面もありましたが慌てることなく、逆にタイヤに苦しくなる終盤には突き放してトップチェッカーを受けることができました。今回の優勝でランキングも3位に上がり最終戦で自力チャンピオンも狙える位置につけることができました。

オートポリスは過去3年連続で入賞しており#96 K-tunes RC F GT3には相性の良いコース。21番手からでも慌てず攻めていきます。序盤は周りのライバルたちのペースが予想よりよかったのですが、こちらも安定したスピードを発揮し一歩も譲らずポジションをキープ、それでも15周目には19位に浮上します。ロングランで強さを発揮するタイヤを用意している#96 K-tunes RC F GT3は先頭をきってミニマムの周回数でピットイン。24番手で復帰するとニュータイヤの威力を発揮しハイペースで周回を重ねます。折り返しの30周目には18位、39周目には16位、44周目にポイント圏の10位。終盤にきてもペースは落ちず50周目には上位と同等のタイムで自己ベストを記録すると52周目には8位に浮上。最後にはプッシュしてタイヤチェックまでする余裕をもってフィニッシュ。スタートポジションの影響で上位まで届きませんでしたが作戦通りに走りきりポイントを獲得しました。

一方、車両が変わってからまだこのコースは2戦目の#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは攻め切れませんでした。持ち込みのセットがコンディションに合わせきれなかったのかフルにスピードを発揮できません。オープニングラップで一台FIA-GT3車両に先行されるも食いつきますが、追いついてきたGT500車両を前に出す隙をついてもう一台FIA-GT3車両に先行されました。それでも#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはピタリと後ろにはりつきオーバーテイクのタイミングを計ります。17周目FCY解除時にタイミングの良い加速で前を走るFIA-GT3車両のインに滑り込みましたが僅かに接触、バランスを崩してスピンしながらコースアウト。幸い車両にダメージはありませんでしたが停止した位置が悪く中々コースに復帰できません。再び走り始めると安定したペースを取り戻し24周目に1台パスした後30周目に予定通りピットイン。この時点でラップダウンの25位となっていましたがあきらめずに周回を重ねます。47周目に23位に浮上、56周目に1台抜いて22位に戻したところでフィニッシュ。走りはじめから力を出し切れず悔しいレースとなってしまいましたが、最終戦では本来のスピードを発揮してシーズンを締めくくりたいところです。

ウォームアップでもフィーリングの良さを感じた#30 apr GR86 GTはスタート直後にポジションを上げますが序盤はライバルのGTA-GT300と順位を入れ替えながら周回を重ねます。1/3の周回数を過ぎるとすぐにドライバー交代を実施する車が出てきて、その度に#30 apr GR86 GTの順位が浮上します。28周目に6位まで浮上した所でこちらもドライバーチェンジ。早いタイミングで交代していたライバル達のペースが良かったため大きく後退、全車がドライバー交代を終えた41周目には20位を走行。43周目に一台パスして19位、終盤にリタイヤとトラブルの車両があり17位に浮上したところでチェッカーを受けました。上位勢と遜色のないベストタイムをだしながらも思ったより上位に進出出来なかったのは、やはり抜きにくいコースの特性に、タイムが拮抗している中で速い所のちがうFIA-GT3 とGTA-GT300の組合せという複合的な原因も考えられるようです。結果的に予選の順位が最後まで響きましたが、なにより車はよく走りミスもなく次に繋がる良い内容だった点を自信に変えて最終戦に臨みたいところです。

GT500はご覧の通りオベロンがサポートする#17 Astemo NSX-GTが予選前のトラブルを克服すると、決勝では安定して本来のスピードを発揮し今期初優勝。GT300は10周目にトップに立ったNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが昨年のチャンピオンを振り切って独走。2年ぶりとなる優勝を勝ち取りました。

第7戦の応援ありがとうございました。#17 Astemo NSX-GTは今まで展開に恵まれませんでしたがようやく本来の力を発揮し、チャンピオンシップにも大きく名乗りをあげました。GT300では収穫も反省も含めて最終戦につなげることが出来れば、集大成の走りでサーキットを沸かせてくれるのではないかと期待がかかります!次回の11/5~6のもてぎ戦では例年ノーハンデの熱い戦いがコースのいたるところで展開されます。オベロンサポートの4チームのチャレンジに熱い声援をよろしくお願いいたします!

公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2022/Round7
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=12721
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/96_GT2022_Round7_%E6%B1%BA%E5%8B%9D.pdf
60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2022_60_Report_rd.7_AUTOPOLIS_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://supergt.net/upload/2022%20Rd.7%20Report%2030.pdf