2025 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL
■レース概要
開催場所:モビリティリゾートもてぎ
開催日:2025年11月1日(土)~2日(日)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
| #17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 予選15位 決勝13位 |
・GT300
| #96 K-tunes RC F GT3 予選18位 決勝13位 |
| #60 Syntium LMcorsa LC500 GT 予選11位 決勝16位 |
| #30 apr GR86 GT 予選27位 決勝23位 |
ハードブレーキングが連続するもてぎ、夏であればブレーキから伝わる高熱にタイヤ側でも対策が必要になるほどですが、この時期の低温だとタイヤのレンジを外した場合、パフォーマンスを発揮しない上摩耗が進行するのはもとよりその状態のタイヤはピックアップ(タイヤカスがトレッドにくっつき振動やグリップ低下を起こす)のリスクが高まる事が心配されるようです。またブレーキングに続く加速性も重要で、一般的に車体の構成上トラクション性能が高いと言われるRRやMRが得意とするサーキットであるとも考えられています。
もてぎはホンダのホームコースの一つであり、ラストランとなるCIVIC TYPE R-GTを走らせるチームには期するものがあるのではないでしょうか。レース周回は63周、通常ピットタイミングのミニマムは21周。基本的にサクセスウエイトのないフルに性能を発揮できる条件です。
GT500は前戦でのランキング1位のリタイア、GT300はランキング1位を追い上げる有力チームの躍進もありチャンピオン争いは混戦で勝敗は下駄を履くまでわかりません。
前戦より投入されたNEWエンジンもありスピードを取り戻しつつある#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT、優勝も手にしパフォーマンスを発揮しだした#60 Syntium LMcorsa LC500 GT、BOPに苦しみながらもマシンのセットアップが決まりだした#96 K-tunes RC F GT3、10月のもてぎテストでは光明を見出した#30 apr GR86 GT。4チームはそれぞれの目標を胸に最終戦に挑みました。
<11/1予選>
前夜には強めに降った雨も上がり朝には青空も見えたモビリティリゾートもてぎ、公式練習では雲の多い空模様ですが走行が始まると路面ウエットパッチも20分程ですっかりドライコンディションに乾いていきました。気温が17℃路面温度は21℃、低めの数字ですが日中は過ごしやすい天候で安定する予報です。
来季はプレリュードが投入されるためCIVIC TYPE R-GTでのラストレースとなる#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは、持ち込みのセットのバランスは良いのですがパフォーマンスが足りない様子。その中でも決勝にむけたセットアップを詰め、公式練習終盤に予選を想定した走行をしますが13番手止まり。予選では午前よりタイムを伸ばしますがライバルに比べてノビしろが小さくQ1敗退、予選は15位となりました。
今シーズンからLC500 GTを投入し後半戦から調子を上げてきた#60 Syntium LMcorsa LC500 GTですが、こちらも持ち込みのセットのバランスは良いのですがタイムが伸びません。ピークを過ぎたタイヤはグリップの変化が大きいようでしたが、午前中はタイヤ1セットでセッティングを詰め17番手。午後は日差しが出はじめ予選が始まる頃には気温23℃路面温度24℃と徐々に温まりだしました。#60 Syntium LMcorsa LC500 GTはアウトラップに加え2周のウォームアップでアタック開始、3周目5番手タイムを記録してアタック2周目に突入。セクター2まではベストを更新したところでタイヤはピークをむかえベスト更新には至りませんでしたがQ1A組を8番手で通過。迎えたQ2でも同様のウォームアップで3周目にQ1を更新するタイムで7番手、4周目も攻めますがタイムが伸びず途中でアタックを終了、予選は11位となりましたが上位でグリット降格があり明日の決勝は10番グリットからのスタートです。
#96 K-tunes RC F GT3は4セットの持ち込みタイヤのうち従来コンパウンドをメインに、1セットの新コンパウンドをバックアップとして臨みました。しかし公式練習での状態を見る限りメインのタイヤでの予選一発のタイム出しは厳しそうだとの見解に至り、Q1はバックアップタイヤで臨むことに決定。セットアップも急遽変更することになりました。午後になって日差しが出てきたため温度が上がりコンディションも合ってきたのを追い風にB組Q1を3番手で突破。Q2はメインのタイヤに履き替えるとやはり路面をとらえきれなかったためタイムが伸びず予選結果は18位となりました。
10月前半に行われたもてぎテストで方向性を掴み、前戦オートポリスではQ2に進出しセットアップに手応えを掴んだ#30 apr GR86 GTですが最終戦では苦戦。テストを踏まえたセットですがコンディションの違いもあり持ちこんだミディアムタイヤもハードタイヤも中々機能しません。セットアップをすすめバランスは良くなっていきますがグリップ感に変化が見られないままQ1に突入、慎重にウォームアップを重ねてのアタックでしたがQ1突破ならず予選は27位となりました。
<11/2 決勝>
午前中は日が差す場面もありましたが午後は曇りがち。スタート前も気温20℃路面温度22℃で昨日とあまり変わらないコンディションです。決勝は3万人を超える観衆が見守る中予定通り13:00にきれいなローリングスタートで始まりました。予選よりフィーリングを改善しウォームアップでは2番手タイムと気を吐いた#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTはオープニングラップで2台をパスして13番手、抜きつ抜かれつの競り合いのなかでもライバルと遜色無いペースで好走しポジションをキープ。25周目ピットインしてフルサービスを実施して追い上げを狙います。全車がピットを終えた37周目に11番手とポイント圏まで後一歩、目の前の6番手集団の5台に食らいつくと41周に1台43周に2台をパスし8番手、46周目には7番手と集団の中バトルを繰り広げましたが51周目のバックストレートエンドではじき出されてしまい最終コーナーまでに10番手にポジションダウン。残りは11周ですが集団の最後尾から諦めず前を追いました。ファイナルラップは10番手、このままポイントを持ち帰れるかと思われましたが最終コーナーを駆け上がってくるはずの#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTがまさかのスローダウン、ガス欠症状がでたためでゴールラインを過ぎた所で止まってしまいました。フィニッシュは15番手となりましたが上位の失格やペナルティでリザルトは13位となりました。今シーズンは表彰台に上がることも出来、ラストイヤーのシビックで結果を出すことができましたが、一年を通じて本来の力を発揮できなかった悔しいシーズンとなりましたが、これをバネに来シーズンでの躍進につなげてくれるのではないでしょうか。


決勝のスタートタイヤは抽選でQ1のタイヤとなり、#96 K-tunes RC F GT3は新コンパウンドでのスタートです。オープニングラップ4コーナーを立ち上がったところで16番手に上がりました。続く5コーナーに向けて前の2台に並ぶように進入したところ中央の車がアウト側にいた#96 K-tunes RC F GT3の右フロントに接触、アウト側のグラベルにはじき出されましたがスタックすることなく最後尾でコース復帰。しかしすぐにドライバーからトラブル報告が入りました、アライメントがずれて左コーナーが曲がりにくくなってしまったのです。幸いコーナーで切り足せばなんとか曲げられそうなのでピットにもどらずレース続行。それでも新コンパウンドに対するセットアップの完成度が高く、ダメージをかかえながらもポジションを上げて行きました、18周目には17番手、レース距離の1/3をすぎるとすぐにピットにもどる車がでてきましたがペースの良い#96 K-tunes RC F GT3はコースに留まりポジションを上げて行きました。37周目にトップまで浮上したところでピットインしコースには11番手で復帰、アウトラップではセンターのずれたハンドルにもてこずりポジションを落としますが全車がピットを終えた39周目には13番手とスタートから大幅にポジションを上げることに成功、タイヤが温まると前を追い上げますが終盤のFCYでタイヤが冷えてしまうとペースが上がらなくなりそのまま13位でフィニッシュとなりました。接触によるダメージはタイヤがリムから外れかけるほどの深刻な物でしたが、それに負けないセットを出していたチーム力とベテランドライバーの引き出しの多さは来シーズンに繋がる明るいニュースになりました。
決勝は10番手スタートの#60 Syntium LMcorsa LC500 GTは午前のウォームアップでも10番手と上位進出に気合いが入ります。オープニングラップで1台をパスして9番手、3周目に自己ベストタイムで前を追い上げましたが、5周目あたりからペースが頭打ち。急速にグリップ感が薄れ6周目には13番手に後退し防戦一方となってしまいました。レース距離の1/3を過ぎた所で早々にピットに戻りたいところでしたが、ピーク後のグリップに不安の出た同じコンパウンドのタイヤを使うため2ndスティントの周回数を増やす訳にもいかず我慢の走りが続きました。24周目ようやくピットに入ると20番手でコース復帰、27周目に更新した自己ベストはライバル勢に遜色無いペースでありポイント圏内を十分狙えるものでしたが1stスティント同様そこから3周を過ぎたあたりでペースが頭打ちとなりました。それでも全車がピットを終えた39周目には17番手に上がっていましたが温度が下がってきた影響かタイヤがピックアップを起こすようになりました。そんな状態でも47周目・51周目とライバルをパスして15番手のポイント圏に進出しますが終盤1つポジションを落とし16位でのフィニッシュとなりました。予選でのパフォーマンスを決勝に繋げられなかったのは残念でしたが、優勝できるだけのポテンシャルを持っていることを示せた今シーズンの手応えを来シーズンに伝え、全てのコースで力を発揮することを楽しみにしています。


決勝のセットアップを感触の良かったもてぎテストのものに変更した#30 apr GR86 GTは、状況が改善することはありませんでしたが、オープニングラップで2台を抜き25番手で戻ってくると6周目には24番手にポジションアップ。グリップ感の薄い状態のままでしたがポジションをまもりながら14番手に浮上した29周目にピットイン、レース後半のタイヤを守るためにミディアムからハードに変更しましたがグリップの上がらない状態のタイヤは摩耗が避けられずコースに留まるのがやっとの状態でした。それでも39周目には24番手にあがると終盤の52周目に1台をかわして23位でフィニッシュしました。今シーズンは中々スピードを発揮することが叶いませんでした。開発競争を続ける3メーカーのタイヤに対しFIA-GT3用のグローバルタイヤには荷が重かったのかもしれません。それでも諦めず続けたトライは、車への理解を深めたりチーム力の向上につながりました。これを糧として来シーズン新たに芽吹くのではないでしょうか。
GT500は 2番グリットからスタートしたランキング首位の #1 au TOM’S GR Supra がオープニングラップでトップに立つと1stスティントは後続を引き離しながらレースを主導、2ndスティントも序盤こそタイヤ無交換チームのライバルに先行を許すもすぐに逆転、後半のZ勢の追い上げも振り切って優勝。今シーズン3勝目を上げシリーズチャンピオンを獲得しました。ドライバーの坪井選手は前人未踏の3連覇です。
シリーズチャンピオンの可能性のある9チームのうち自力優勝を狙えるのが3チームと混戦模様のGT300 は、後半戦調子を上げてきているNo.5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号がタイヤ無交換作戦を実行し2ndスティントでトップに立ちました。タイヤを交換したライバル立ちに詰め寄られるかと思われましたが前半からのタイヤマネジメントが生き、ペースを落とすことなく後半を走りきり最終的には後方との間に約9秒のギャップを築いて優勝。参戦11年目となるマザーシャシ86MCでチーム初優勝を成し遂げました。チャンピオン争いは有力チームがペースに苦しむ中、ランキング1位の#65 LEON PYRAMID AMGが14番手スタートからジワジワと順位を上げ6位でフィニッシュ。1ポイント差でシリーズチャンピオンをつかみ取りました。チーム、蒲生選手は2度目の戴冠です。
第8戦の応援ありがとうございました!チャンピオン争いには絡めませんでしたが、コースの至る所で見られた攻防は目が離せないものでした。高いレベルで拮抗したSUPER GTで中々思った様な展開にならなくともその都度ベストと思うことを実行し一歩でも二歩でも前に進めたのではないかと思う最終戦であり今シーズンであったように感じます。オベロンのサポートする4チームを追いかけるだけでも驚きと興奮の全8戦でした、海外戦も復活しコロナ前の賑わいをとりもどしつつあるSUPER GTをサポートすることで手にした「車が好き」というお客様との共通言語を 大切にしていきたいと思います。これからも応援ヨロシクお願いいたします、いっしょに楽しみましょう!
■公式リザルト
公式リザルト GT500
https://supergt.net/result?series=2025>_class=gt500&race_num=4&round=Round8
公式リザルト GT300
https://supergt.net/result?series=2025>_class=gt300&race_num=4&round=Round8
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=14990
#96 K-tunes RC F GT3レポート
https://k-tunes.com/sokuho/shingle0019/
#60 Syntium LMcorsa LC500 GTレポート
https://www.as-web.jp/supergt/1266239
#30 apr GR86 GT
https://supergt.net/wp-content/uploads/2025/11/30_rd8_Motegi_rep.pdf
