2024 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 3Hours RACE
■レース概要
開催場所:鈴鹿サーキット
開催日:2024年6月1日(土)~2日(日)
■オベロン スポンサーチームの結果
・GT500
#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT | 予選15位 決勝6位 |
・GT300
#96 K-tunes RC F GT3 | 予選11位 決勝9位 |
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT | 予選15位 決勝10位 |
#30 apr GR86 GT | 予選20位 決勝19位 |
第3戦も3時間レース、前回の富士に続いての開催、今シーズンは例年以上にタイヤの重要度が高まっており、タイヤに厳しいと言われる鈴鹿サーキットでの取り組みに注目です。またここは全開率の高いパワーサーキットであることに加えハイダウンフォースのクルマが力を発揮しやすく、大柄なエアロボディでパワーのあるFIA-GT3か、今シーズン重くなってしまったが燃費良く長距離レースで戦略に幅のあるGTA-GT3の闘い方の違いは興味深い点です。ここはホンダのホームコースですがGT500では近年ニッサンの活躍が目立っており、鈴鹿初レースとなるCIVICのポジションは、また、2戦連続表彰台を獲得していますが初優勝は今回見られるのでしょうか。
<6/1予選>
肌寒かった金曜にくらべ午前の練習走行が始まるころから気温が一気に上がり、足回りのセッティングなど各チーム対応に追われていたようです。予選開始時には路面にくっきり影が落ちる晴天で気温25℃、路面温度は41℃まであがりコンディションの変化を攻略しなければなりません。第2戦でポール&表彰台とニューマシンでの2戦目にして早くもスピードの片鱗を見せた#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは好調の流れを切らず、走りはじめからクルマのフィーリングが良好で午前の練習走行では6番手、28kgのサクセスウエイトもものともせずQ1は3番手、続くQ2は残り5分でピットを離れ、アウトラップ+1周慎重にウォームアップしアタックラップに突入、セクター1をイイペースで走っていましたがS字の2つ目でコースアウトしノータイム、予選の通過基準タイムをクリアできず決勝は最後尾15位スタートとなりました。タイヤやクルマに大きなダメージが残らなかったのは不幸中の幸いでした。
公式練習での#30 apr GR86 GTはニュータイヤで走りはじめは好感触ですが周回を重ねるとアンダーステアが強くなってくる様子、セッティングで対応していくことになります。ヨコハマと鈴鹿のマッチングは前回の活躍を考えると今回は他社に一歩及んでいないようで決勝のロングランに課題が残ります。ですがニュータイヤ時はフィーリング良くQ1のアタックラップにもリズム良く入りましたがデグナーでコースアウト。ベストなタイムは残せずQ2ではユーズドゆえのアンダーステア傾向がでて予選は20位となりました。Q1で公式練習のタイムがでていればQ2上位に残れるクルマのバランスでしたが、決勝に向け切り替えて行きたいところです。
持ち込みのセットを大幅に変更して臨んだ#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは公式練習を走り始めてから早々に午前中の10番手タイムを記録するなどクルマの感触は良さそうですが、セットアップを詰めていった公式練習の後半に思ったほどタイムが伸びません、路面のコンディションの影響でしょうか。それでもギリギリまで手を入れた結果予選に向け良い方向性が見つかりました。Q1のアタックラップではセクター1・2と上手にまとめ、スピードに繋がるセクター3を快調に走っていましたがスプーンでわずかにリヤがスライド、その後のバックストレートに影響したのか0.1秒差でトップ16入りならず、しかしグループBなら4番手となるタイムで競争力が無いわけではありません。Q2のアタックラップではセクター1・2で全体ベストで攻めますが最後のシケインでオーバーラン。翌周もアタックを続けましたがタイムは伸びず予選15位となりました。やや力が入りすぎてしまった感がありますが今回のコンディションにDUNLOPのマッチングも良さそうで決勝での走りに期待がかかります。
前戦はタイヤトラブルで勝負権を失ってしまった#96 K-tunes RC F GT3ですが、よりタイヤに厳しい鈴鹿で巻き返しはできるでしょうか。午前の練習走行では5番手タイムを刻み、富士ではトラブルを別にすれば充分入賞圏内を走れるペースを持っていた事を証明するような内容で、午後の予選に期待がかかりました。しかしQ1は6番手、Q2は9番手ともに公式練習のタイムを上回る事が出来ず合算タイムで予選11位が確定しました。もう少し上位からスタートできるクルマの仕上がりと考えていましたが、走らせている感覚にタイムが付いてこないとのことで、エンジンが午前より若干回っていないと言うデータもあるようです。路面コンディションの影響とも考えられ、マシンを見返し決勝に向けた準備に取りかかりました。今回ダンロップタイヤと鈴鹿のマッチングは他チームの走りを見るに決して悪くないため。明日の決勝は上位入賞を狙った走りが見られるはずです。
<6/2決勝>
前日の天気予報では雨が降る場面が予想されていました、実際ウォームアップの時結構な雨が降り、ウエット宣言(ウエットタイヤがしよう出来るようになる)が出され、チームは急遽ウエットタイヤのチェックをするなど慌ただしい雰囲気となりました。そんなコンディションでも#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは3番手、#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTも4番手タイムを記録するなど落ち着いた対応を見せました。グリッドにクルマが並ぶ頃には雲が切れ路面はどんどん乾き出しました。ちなみにGT300のウエットタイヤは各社新パターンを容易しており、ダンロップは昨年からちょい濡れに自信をもっているほか、ブリヂストンは例年よりダンプコンディション(乾きかけの路面)も考慮したタイヤになっているとのこと。定刻通りレースがスタートするときには完全なドライコンディションに。GT500最後尾スタートの#17 Astemo CIVIC TYPE R-GTの前半は前を走るライバルを抜きあぐねる場面もありましたが14周目に一つポジションがあがるとその後はテンポ良く30周目には8番手に。1回目のピットはGT500最後となる35周目、フルサービスにドライバー交代も行い13番手でコース復帰。この第2スティントもペースが良く、ライバルのトラブルで10番手まで浮上すると45周目に1台パスして9番手、すぐに8番手とテールトゥノーズから一気に2つポジションを上げ57周目に7位、前の6位とは7秒、しかしここで
ピックアップの影響かバイブレーションが発生。チーム戦略では次のピットはドラバーの最低周回時間も鑑み68周を予定していましたが。連続スティントで周回時間を解決するのでピットを早めこのチャンスを生かしたいとのドライバーからの提案が採用され63周目に2度目のピットイン。ドライバーはそのままで給油とソフトタイヤに交換して8番手でコース復帰、8秒前を走る7番手を追います。第3スティントもペース良くベストタイムを更新しながら差を詰めて行き78周目にスプーンの入り口でスパッと前に出ると残り25分で4秒前を行く6番手を追い詰めます。残り15分でテールトゥノーズに持ちこみますが相手はベテランが駆る同じCIVIC、中々簡単にはいきません、こちらのほうがペースは良さそうですがライン取りやラップダウンを上手く使い前に出させてもらえません。このまま決めきれないかとも思われましたが最終ラップ、今まで飛び込む素振りを見せていなかったシケインでインからオーバーテイク、最後尾スタートから6位でフィニッシュ。チームの士気をあげるポジションアップを決め後半戦の闘いぶりに期待が高まります。
#96 K-tunes RC F GT3と#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはともにオープニングラップで一つずつポジションをあげ序盤の大集団を戦いました。
単独走行ではスピードのある#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTですがこの混戦では難しく、10周目のシケインの競り合いで接触された隙に2台に抜かれ16位までポジションダウン。その後先行車に詰まっていたこともあり早めの20周目にピットに入り流れを変えます。フルサービスのみでコースに戻ると23番手、だいぶ後退しましたが予定通り流れの良い所に入り、順調にポジションを上げて行くことができました。
混戦の中ではFIA-GT3の#96 K-tunes RC F GT3の方が逞しくGT500に追いつかれる前に9番手までポジションアップ、この後もライバルとの競り合いをつづけ26周目に行った1回目のピットの際には7番手まで上昇していました。フルサービスとドライバー交代でしたが少し時間がかかってしまい23番手でコース復帰、ちょうど#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTの直ぐ後ろです。
ペースの良い2台は全車1回目のピットを終えた34周目には11番手と12番手。42周目に#96 K-tunes RC F GT3が前に出ても2台で浮上していきます。7番手8番手の51周目#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTが2度目のピットイン。15番手までもどした58周目に2度目のピットを終えた#96 K-tunes RC F GT3が再び直ぐ後ろでコース復帰しました。今度も2台はテールトゥノーズとなってもポジションアップしていき65周目には9番手10番手。66周目に#96 K-tunes RC F GT3が前に出ますが、そのころ#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTはピックアップが目立ってきてペースを維持できなくなってきたところでした。徐々にギャップは広がっていきましたが共に前後のライバルとは距離がありそのままの順位でチェッカーを受けました。
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTは今シーズン初ポイント、後半のピックアップ以外はペースも良くミスのない闘いで長丁場のレースを走りきれたことは収穫で、課題はありますが前半を良い形で締めくくれたのではないでしょうか。
#96 K-tunes RC F GT3としても目標の入賞はクリアし、上位と同等のラップを刻めたことや途中ペースを大きく落とすことなく走りきれたことは満足でしたが、やはりエンジンが100%ではなかった点やタイムロスがあったことなど反省がありましたが伸びしろと考え後半戦への備えの充実を図ります。
#30 apr GR86 GTはオープニングラップのヘアピンではじき出されてコースアウト、ホームストレートに戻ってきた時には25番手までポジションを落としていました。この接触の際に左側のカナードとスポイラーを破損、エアロの影響の大きいサーキットでこのダメージは空力的にもアンダーステア傾向となりライバルを攻略するのは簡単ではありませんでしたが、コーナリングマシンの特性を生かして直ぐに2台をパスし23番手、その後も混走が続く難しい状況の中ペースを維持。20周を過ぎたあたりからピットに入る車両が出てくると順位が浮上し、11番手を走行中の30周目に1回目のピットインを実施しました。フルサービスにドライバー交代もして23番手でコース復帰すると早速32周目にベストタイムを更新し追い上げ体勢に入りましたが10周ほどでアンダーステア傾向が強くなってきてコースに留まるのがやっとといった状況に。コンパウンドというより構造がフルタンクの重い状態に負けているような印象とのことでした。14番手まで戻した56周目に最後のピットインを行いましたが、この第3スティントでも傾向は変わらず10周ほどでアンダーが強くなりはじめコントロールが難しくなってきました。それでも終盤17番手を守っていましたが.最後に2つ落として19位でフィニッシュしました。ロングディスタンスに課題を残していますがクルマの方向性は良いようで後半戦に向けタイヤを含めじっくり詰めて行きたいところです。
GT500はポールスタートの#37 Deloitte TOM'S GR Supra が前半を支配しますが、終盤ライバルのオーバーカットでトップを譲りました、しかしそのライバルがペナルティをうけたことで、終始ミス無く走り切った#37 Deloitte TOM'S GR Supra がライバルの追い上げを振り切りトップでフィニッシュ、笹原選手アレジ選手のドライバー二人は初優勝でした。
GT300は#777 D'station Vantage GT3が予選から圧倒的な速さを見せポールトゥウイン、今シーズンからのアストンマーティンとファグ選手は3戦目にして嬉しい初勝利を手にしました。
第3戦も応援ありがとうございました!心配された天候でしたがスタート前の一降り以外は大きな影響も無く、赤旗やSCが必要となる大きなトラブルも起きず無事にチェッカーを受けることができました。今シーズンは予想通りタイヤの影響が大きいですが、チーム力を発揮することで長時間レースならではの逆転劇が展開され面白いレースとなったように思います。オベロンがサポートする4チームとも次に繋がる闘いができたのではないでしょうか?第4戦は2ヶ月のインターバルをおいて8/3~4真夏の富士決戦です。夏休み前半のビッグイベントとして皆様お楽しみいただけると幸いです、もちろんオベロンがサポートする4チームへの応援も引き続きよろしくお願いいたします!
■公式リザルト
https://supergt.net/results/index/2024/Round3
#17 Astemo NSX-GT レポート
https://www.real-racing.jp/?p=13960
#96 K-tunes RC F GT3レポート
http://supergt.net/upload/SGT2024_Rd3_%E6%B1%BA%E5%8B%9D.pdf
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTレポート
http://supergt.net/upload/2024_sgt_lmcorsa_report_03_Suzuka_final.pdf
#30 apr GR86 GTレポート
https://supergt.net/upload/30_rd3_Suzuka_rep.pdf